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閉鎖予定の石炭火力発電所、代替燃料を模索 オアフ島

閉鎖予定の石炭火力発電所、代替燃料を模索 オアフ島

カポレイのキャンベル工業団地にあるAES コーポレーション石炭火力発電所の閉鎖予定が来年に迫っている。一方、一部のハワイ州議員らは180メガワットもの電力供給が可能な同発電所の稼働維持を検討しており、石炭に替わる燃料の導入が模索されているとハワイニュースナウが報じている。AES発電所は現在、オアフ島の安定した電力供給の約10%を担っているものの、燃料源の石炭が温室効果ガスを放出することから、州のグリーンエネルギー計画に適合していないことが焦点となっている。

ハワイ州上議院で行われた説明会で、ハワイ自然エネルギー研究所(HNEI)の関係者らは石炭火力発電所の代替燃料として再生可能エネルギーのバイオマス(※1)を提案した。その利点について、HNEIディレクターのリック・ロシュロー氏は次のように説明した。

「バイオマスを燃焼させると相当量の二酸化炭素が排出される。しかしながら、燃焼するバイオマスと同量の木を植樹した場合、木がバイオマスの燃焼から排出された量と同等の二酸化炭素を吸収する。これにより、オアフ島での再生可能エネルギーの使用が現在よりも大幅に増加し、RPS(※2)の約20%になる」。

ハワイ州は、2045年までに再生可能エネルギー源からエネルギー供給の100%を供給することを目標に掲げている。考えるべきことの1つにコストの問題があるが、石油燃料と比較すると分かりやすいという。HNEIのコンサルタントで専門家のレデク・ステンクリック氏は「現在、バイオマスのコストは石油よりも高いが、将来、石油の価格が1バレル100ドルにればバイオマスは安くなり、より導入されやすくなるだろう」と述べている。

一方、石炭火力発電所の燃料をバイオマスに変換することはハワイアン・エレクトリック社が考えている計画の一部に合致しないという。同社は、再生可能エネルギー源とエネルギー貯蔵技術を組み合わせた場合のみ、顧客の需要を満たすことができると考えている。

また、環境保護団体ライフ・オブ・ザ・ランドのヘンリー・カーティス氏は、バイオマスはコストが高すぎる上、最終的には環境汚染の拡大に繋がると考えている。

「現在、再生可能エネルギーのコストは1キロワット時あたり79セントだが、将来的に30セントまで跳ね上がる可能性がある。また、二酸化炭素を吸収する樹木を育てるには2030万エーカー(8091214キロ平方メートル)の森林地帯が必要なため、樹木のほとんどをまずは本土で育てなければならない。島内での植樹が現実的でないままバイオマスを燃料として導入した場合、温室効果ガスの排出量が大幅に増加することが懸念される」

(※1)木材、紙、生ゴミ、海草、プランクトン、動物の死骸や糞尿などを起源とする再利用可能な有機性資源。石油などの化石燃料はこれに含まれない。動植物が太陽エネルギー、水、二酸化炭素を使って生成するため、持続的な再生が可能。

(※2)再生可能ポートフォリオ基準で電力会社が風力や太陽光などのグリーンソースから取得するエネルギーのパーセンテージ測定値。

写真:Shutterstock

(日刊サン 2021.10.01)

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