マウイ島救済活動のための資金集めが急務とされる中、スコット・サイキ下院議長は18日(月)、ジョシュ・グリーン州知事に対し、「偽りの資金集めを禁止し、犯罪とする」緊急宣言を発令するよう要請した。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報道によると、サイキ下院議長はまた、アン・ロペス検事総長に対し、マウイ島の被災者支援に確実に資金が使われるよう、ただちに監査プロセスを導入するよう要請した。
サイキ下院議長は、グリーン知事に宛てた書簡の中で、「不誠実な個人や団体(非営利団体かどうかに関わらず)が、マウイ島の山火事を口実に、マウイ島の被災者のために義援金を集め、実際には他の目的(給与や山火事以外の経費など)に使われる可能性がある」と述べている。
同議長は、欺瞞(ぎまん)的な募金活動は、罪のない寄付者に対してより緊急かつ直接的な脅威をもたらし、マウイ島でこれまで以上に資金が必要とされている時に、寄付を抑制する効果をもたらす可能性があると主張する。
グリーン知事は、この書簡に関して現在検討中だとしている。
なお、ロペス検事総長は、以前にも8月9日(水)と8月21日(月)に、火災救援活動への寄付について注意を促している。
ハワイ・ニュース・ナウによると、マウイ島への義援金の透明性を確保するサイキ下院議長の働きかけは、元マウイ州議員のカニエラ・イング氏が一部運営するマウイ・コミュニティ・パワー・リカバリー・ファンドをめぐる論争を受けたものだという。
批評家たちは、この非営利団体は寄付金が政治キャンペーンに使われる可能性があることをもっと明らかにすべきだと主張する。
弁護士のヒュー・R・ジョーンズ氏は、「少なくとも私が見た限りでは、このウェブサイトを通じて集められた義援金は、慈善活動以外、たとえば災害救援活動に限定して使われるとは明記されていない。ロビー活動や立候補者に使うこともできる」と語った。
一方、イング氏は批判に反発しており、ウェブサイトには資金が政治利用される可能性を示す文言があるが、今のところ、同氏は政治家候補に資金が流れたことはないと主張している。
イング氏によると、彼の基金は少なくとも65万ドルを集めており、それがラハイナの再建を地域社会を代表する形で支援したいと考える政治家候補を支援するために使われる可能性があると認めている。
現時点で、同基金に集まった義援金の約4分の1が使用され、その約75%は住民への直接援助、残りは看板、シャツ、バナーなどの費用に使用されたという。
なお、18日(月)、マウイ郡とマウイ警察は、ラハイナでの大火災による犠牲者のうち、新たに5人の身元が判明したと発表している。
現時点での死者数は97人で、そのうち74人の身元が確認され、遺族に通知されている。さらに5人の犠牲者が確認されたが、その家族の所在はつかめておらず、通知されていない。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.9.20)