今年6月、詐欺罪などで逮捕された元ホノルル市検事、キース・カネシロ容疑者が関わった一連の汚職事件について、新たな逮捕者が出たことをハワイ・ニュース・ナウが報じている。

米連邦捜査局(FBI)は13日朝、弁護士のシェリ・タナカ容疑者を陰謀の疑いで逮捕した。タナカ容疑者は、カネシロ容疑者の事件に関わった建築事務所「ミツナガ・アンド・アソシエイツ」の法定代理人だった。

タナカ容疑者の逮捕に先がけ、米連邦大陪審の陪審員長は今月8日、6月に行われた汚職事件の差し替え起訴(※)を発表していた。これを受け、マイケル・ウィート連邦検事補が治安判事にタナカ容疑者の逮捕状を請求していた。6月の裁判で発行された原告側の訴状には、「共謀者1」としてタナカ容疑者の名前が記載されていた。

この汚職事件で陰謀及び贈賄の疑いで起訴されているのは、カネシロ容疑者のほか、「ミツナガ・アンド・アソシエイツ」社長のデニス・ミツナガ容疑者、同社従業員のテリー・オオタニ容疑者、チャド・マクドナルド容疑者、アーロン・フジイ容疑者の5人。

起訴状によると、2012年から2016年にかけ、同社はカネシロ容疑者が再選された検事選挙中に計5万ドルを寄付した。見返りとして、カネシロ容疑者は同社の元従業員の女性を無実の罪で刑事告発したとされている。ハワイ州裁判所の裁判官は女性が有罪となる証拠がないとして刑事告発を却下。女性は告発される以前、差別を理由に同社を起訴していた。

13日午前に行われた裁判所の公聴会で被告側弁護士は「差し替え起訴状はまだ開封されておらず、弁護側にも渡されていない」とした上で、5人の被告全員が無罪を主張していると述べた。

同日午後に公開された差し替え起訴状は、タナカ容疑者の名前が代理人として記載されていないことを除いては、元の起訴状とほぼ同じ内容。差し替え起訴の裁判は来年3月に開廷される予定。

元米連邦公選弁護人のアレクサンダー・シルバート氏は「弁護士が依頼人と一緒に起訴されることは非常に珍しい」と話した。シルバート氏によると、タナカ容疑者はロサンゼルスで公聴会を行う可能性が高く、保釈金支払い後はハワイの法廷への出廷を許可される見込みだという。

（※）最初の起訴の後、被告人に対して提起される追加起訴。