ホノルルのストラウブ・メディカル・センターにある火傷治療室は、ハワイで唯一の火傷専門の医療施設であり、北太平洋ではカリフォルニアとアジアを結ぶ唯一の施設だ。8日(火)、マウイ島ラハイナで起きた大規模な火災によって負傷した9人の患者が、ホノルルまで約100マイル(約160キロ)の距離を空輸され、この火傷治療室へと運ばれた。
ホノルル・スター・アドバタイザーによると、患者は若い成人から高齢者まで幅広い年齢層がおり、第2度や第3度の熱傷で体の70%を覆っているケースもあったという。医師や看護師は彼らの容態を安定させるために奔走した。
治療にあたった医師の一人であるデビッド・C・チョー医師は、「実際、最初の36時間は、CNNの報道を知る時間がなかったので、私はおそらくこの島で最も情報に疎い人間の一人だったと思う」と、災害発生直後の医療現場の多忙さについて語った。
今回の災害により、この火傷治療室の重要性が浮き彫りになった。1980年代まで、ハワイには火傷の治療施設がなかったため、患者を飛行機で本土に搬送しなければならなかったが、到着する前に患者が死亡することも多かったという。
また、無事本土に着いたとしても、家族と離れてつらい治療を受けながら長い入院生活を送らなければならなかった。
同治療室は、ハワイの他の島々、グアムなどの米国領、ミクロネシアなどの太平洋諸国、海上の貨物船から、日常的に火傷患者を受け入れている。
しかし多くの場合患者は一度に1人か2人であり、今回のような患者の多さは異例だ。
それでも、死者数が100人を超え、さらに増える可能性が高い今、治療室の医師たちはより多くの人々を救う機会がなかったことを嘆いている。「もっと多くの搬送者が来てくれていたら良かったのに。それが心残りでならない」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.16)