火災によって壊滅的な被害を受けたマウイ島ラハイナで、街のランドマークとして愛され続けてきた巨大なバニヤンツリーに一縷の望みが生まれているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
このバニヤンツリーは、1873年、当時のハワイ王国の主要拠点であった港町ラハイナの中心地に植えられた。植樹当時の高さはわずか約2.4メートルだったが、現在では18メートルを超え、枝は3分の2エーカーに広がり、米国内最大級のバニヤンツリーとなっていた。
今回の大火災によって、このバニヤンツリーも、黒焦げになった瓦礫の建物に同化し、枝や幹は灰で覆われている。しかし、崩れてはおらず、その姿で立っている。ハワイ大学の拡張森林監督官であるJ.B.フライデー氏は、現地の画像を見て、「この樹が生き残っているとは考えにくい。周囲の建物は焼け崩れており、炎は高温だったと推察される」と述べた。
しかし、ラハイナ・リストレーション財団の副事務局長であるキンバリー・フロック氏は、前向きな姿勢を崩していない。木の下にあった複数の木製のベンチも炎に耐えていたことを指摘し、「炎を受けた樹木でも、生存可能な部分があれば、生き残れる可能性がある」と語る。主幹から1本か2本の生存可能な枝があり、それらが焼けすぎていなければ、樹木の気根システムが再生を促す可能性があるという。
「もしこの木が生き延びることができれば、それは本当に素晴らしいシンボルになるだろう」とフロック氏は語る。
ラハイナは国定歴史地区であり、2つの地域歴史地区でもあり、何十もの歴史的建造物があったが、その多くは火災によって壊滅的なダメージを受けた。ブライアン・シャッツ上院議員は、ラハイナのフロント・ストリートを視察し、「製糖工場はまだ残っている。灯台も残っている。バニヤンツリーはまだ立っているようだが、他はほとんどない」と述べた。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.14)