7日(月)、第9連邦巡回控訴裁判所にて、3人の裁判官が刃物を携帯する権利は憲法修正第2条により保護されているとの判決を下した。これにより、ハワイ州で30年に渡り禁止されてきたバタフライナイフの携帯が覆されたとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
アンドリュー・テーター氏とジェームズ・グレル氏は、ハワイに引っ越した際にバタフライナイフを手放すことを余儀なくされ、新規購入も許されなかったため、2019年4月に州司法長官と州保安官課の管理者を訴えた。
2020年5月、アラン・C・ケイ連邦地裁判事は、州を支持する略式判決を下した。しかし、第9連邦巡回控訴裁は7日(月)、2022年のニューヨーク州ライフル・ピストル協会対ブルエン事件における連邦最高裁判所の判決(公共の場で銃を隠すことは憲法上の権利である)が、ハワイでは一般的にバリソン(balisong)として知られているナイフにも適用されるとの判決を下した。
バタフライナイフは折りたたみ式ナイフの一種で、タガログ語で蝶を意味する「バリソン」とも呼ばれる。バリソンはフィリピンの武術「エスクリマ」の一部であり、棒、手、ナイフを使った一連の動作として護身術を教える。エスクリマは1500年代にスペインがフィリピンを植民地化する以前からあったとされている。
テーター氏とグレル氏の弁護士であるアラン・A・ベック氏は、フィリピン文化におけるバリソンの重要性を指摘し、「裁判で立証したように、これらの武器はフィリピン武術で使用するものである。州の立場は、犯罪者だけが使うものだとしているが、そうではない。世界中の人々が自己防衛のために携帯しており、ハワイ州で禁止されるべき理由はない」と語る。
カルロス・T・バー連邦巡回控訴裁判所判事は、銃器と同様、刃物も「表面的には憲法修正第2条の意味における”武器”を構成する」と結論づけ、逆転判決となった。
ハワイ州司法長官は7日(月)に声明を発表。司法長官の広報担当者は、「現在判決を検討しており、後日さらにコメントを出す可能性がある」と述べている。
今回の判決は、カリフォルニア州をはじめハワイ以外の州にも影響を及ぼす可能性がある。カリフォルニア州では、バタフライナイフを含む「スイッチブレード」は、刃の長さが2インチ(約5センチ)以上あるものは禁止されてており、同州ではこの禁止を争う別の訴訟が係争中だ。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.8)