ハワイでは梅毒感染者が増加しており、州保健局(DOH)は、とくに妊娠の可能性のある女性や妊婦に対し、胎児への感染を防ぐため、梅毒のスクリーニング検査を増やすよう医療提供者に呼びかけているとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
DOHの感染症・公衆衛生看護部門のチーフであるダイアナ・フェルトン医師は、ニュースリリースにて、「梅毒は、とくに発育途上にある胎児に深刻な健康被害をもたらす可能性があり、死産や出生直後の死亡のリスクも高まる」と述べ、未治療の梅毒がもたらす壊滅的な影響は、感染が早期に発見され、速やかに治療が開始されれば予防可能であると説明した。
米疾病予防管理センター(CDC)によれば、未治療の梅毒に感染した女性から生まれた子どもの40%が死産または新生児の時に感染して死亡しているという。また、身体的奇形、失明や難聴を引き起こす神経損傷、重度の貧血、髄膜炎など、さまざまな深刻な健康問題を抱えて生まれる可能性がある。
DOHは現在、妊婦に対して、妊娠初期のできるだけ早い時期と、28週から32週の間、そして出産時の3回、検診を受けることを推奨している。また、再感染防止のため、性的パートナーも治療を受けるべきだとしている。
ハワイでの梅毒感染者は過去10年間で10倍以上に増加しており、その結果、妊婦や新生児の感染者が増えている。
ハワイはまた、早期妊婦健診を受けない女性の割合が高く、先天性感染のリスクを高めている。政府のデータによると、近年、ハワイでは約9人に1人の乳児が、妊娠後期まで妊娠ケアを受けなかったか、まったく妊婦ケアを受けなかった母親から生まれている。
DOHによると、州全体で、先天梅毒で生まれた子どもの数は、2000年から2019年の期間は年間0件から4件ほどだったが、2020年には12件、2021年には20件に増加している。また、2022年の初期のデータによると、少なくとも22例が発生している。先天梅毒のほとんどの症例は、母親が出生前ケアを受けるのが遅かったか、受けていなかったと報告されているという。これを受け、DOHは医療提供者に対し、救急外来や急患診療所、プライマリケアクリニックなど、他の環境でもこの病気のスクリーニングを行うよう呼びかけている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.7.20)