これまでは日本からハワイへの旅行者数の回復は早いだろうと予測されていたが、現在は、パンデミック前の2019年の水準に戻るのは来年末になると予想されているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ハワイ州観光局(Hawaii Tourism Japan:HTJ)マネージング・ディレクターのエリック・タカハタ氏によると、今年の第1四半期と第2四半期の間に、日本からの訪問者数は、パンデミック前の約30%まで戻ると予測され、2019年の訪問者数の40%または50%に戻るには、今年の第3四半期または第4四半期までかかる見通しだという。回復はゆっくりと進んでいき、「2019年の140万人から150万人に戻るには、2024年の全期間かかるだろう」と同氏は述べている。
日本の旅行販売業者やマーケティング担当者は、今週、スター・アドバタイザー紙に、日本の旅行者市場は、燃料サーチャージや不利な為替レートなどさまざまな理由で、ハワイへの回帰が遅れていると語った。さらに、米国のインフレとハワイへの旺盛な国内需要が重なり、航空券やホテルの価格が高騰していることも悪化の原因となっている。また、日本政府が国内旅行を刺激するためのインセンティブを提供することを決定し、新型コロナ規制の解除が遅かったことも影響している。
日本旅行業協会(JATA)の代表団がハワイを訪れ、回復の加速を予測した2022年春に比べ、ハワイへの日本人旅行市場を専門とする旅行業者やマーケティング担当者の多くは、現在、はるかに悲観的だ。
タカハタ氏は、9.11、2002年から2003年のSARS、2008年のリーマンショック、そして2011年の東日本大震災など、過去に観光旅行が中断した際には、日本からの旅行者数はかなり早く回復していたと指摘。「過去の旅行中断時は、翌四半期には90%程度まで回復している。しかし、世界中が止まっている状態で2年間も空白期間があったのはこれが初めてだった。見通しが甘かったのだと思う」と語っている。
「パックリムマーケティング」取締役副社長の木村沙友里氏によると、入国管理局の速報値では、2023年3月の日本人海外旅行者数は69万4293人で、2022年3月と比較して982.33%増、2019年と比較して64%減となっている。「調査データで国別の出国者数とその伸び率を見ると、為替の影響を受けにくい、あるいは米ドルと比べて割安なエリアが顕著な伸びを見せている」と木村氏は指摘する。原油高による燃料サーチャージも大きな要因となっているため、滞在日数を減らすことが可能なエリアや、比較的近いエリアが人気だという。
また、ヨーロッパ旅行がハワイ旅行の予約ペースを上回っており、その主な理由はハワイの方がコストが高いからだという。タカハタ氏は、「イタリアへの5泊の旅行は、ハワイ4泊の旅行よりも安い」と述べた。また、オーストラリア、東南アジア、グアムなど他の旅行先も、日本人旅行者に積極的にマーケティングを行っていると付け加えた。
しかし、「JTBハワイ」社長兼CEOの久保哲也氏は、ハワイは引き続き日本人旅行者に最も人気のある旅行先であり、日本政府が5月8日に新型コロナ関連の国境規制を撤廃して以来、日本からハワイへの総旅客数は増加傾向にあると指摘。「日本からハワイに到着する便の1日平均搭乗者数は、5月前半の1600人から、6月前半は約2300人になっている」と語る。
また、日本〜ハワイ間のフライトも、緩やかながら回復傾向にある。タカハタ氏は、夏の旅行期間にあたる7月、8月、9月は伸びると予想し、「すべての航空会社が、夏期における供給量を増やそうとしているとの情報がある。現在の搭乗率は55%程度とあまり高くはないが、7月、8月、9月については80%になっている」と語っている。さらに、7月中旬からJALが成田とコナを結ぶ季節便を週3回運航することを明らかにした。
また、12月に開催されるホノルルマラソンに、すでに日本から5000人のランナーが登録されていることも、明るい兆しとなっている。タカハタ氏は、この数字が年末までに少なくとも2倍になることを望んでいるという。そうなれば、2019年の1万6000人に近づくことになる。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.19)