米国では景気後退の可能性が指摘されているが、ハワイ州の経済は回復を続けており、他州よりも良い成長率が予測されているとKHON2が伝えている。
州ビジネス経済開発及び観光局(DBEDT)によると、今後2年間はハワイの経済が成長するという予測が出ており、特に2023年最初の4カ月間では、以下のような改善が見られている。
・インフレ率の継続的な低下。ホノルルの都市消費者の消費者物価指数(CPI)の伸びで測定される消費者インフレ率は、5.2%を示した2カ月後の2023年3月には3.3%に低下した。
・観光業の継続的な回復。2023年の最初の4カ月間、訪問者の到着数は2019年の同時期と比較して97%まで回復し、名目ドルで測定した旅行者支出は2019年の同時期と比較して22%増加した。インフレ調整後の実質的な訪問者支出は、パンデミック前の水準を上回った。
・建設活動の活発化。2023年1月から4月に許可された民間の建築許可額は、前年同期と比較して7.7%増加した。増改築の許可額は24%、商業・工業プロジェクトの許可額は11.3%増加したが、住宅建設額は2023年1〜4月の間に3.9%減少している。建設業の求人数は、同期間中に4.9%増加。2023年第1四半期の政府契約受注額は32億ドルで、そのうち28億ドルはパールハーバー海軍造船所の建て替えプロジェクトでハワイ州の企業が受注したもの。
・労働市場環境の改善。2023年の最初の4カ月間は、2019年同時期と比較して、労働力人口(季節調整なし)は98.9%、雇用は98.6%に回復した。非農業部門の給与所得者数は、パンデミック前の96%まで回復。今年1〜4月の週平均初期失業保険申請件数は1148件で、2019年1〜4月の平均1267件より低下した。
・州一般物品税収入の継続的な増加。企業活動の包括的な指標として、州一般物品税(GET)は2023年1〜4月に前年同期比で9.8%増加した。過去の月間GET徴収額の最高は2023年1月の4億4000万ドルで、2番目に高かったのは2023年4月の4億1310万ドル。
一方、懸念される事項は下記のとおり。
・今後数年間における米国および世界経済の減速。ほとんどの国、特に北米とヨーロッパは、2023年と2024年に経済減速が起こると見られている。
・ウクライナ戦争の継続。不確実性が高まる一方で終結の気配がない。
・利率と住宅ローン金利の高止まり。これらの高騰により、2023年第1四半期に住宅認可戸数は22.2%減少した。住宅販売戸数は2023年の最初の4カ月間に38.8%減少した。
・失業率の上昇に伴う労働力不足。2023年第1四半期に求人数が高止まりし、2023年第1四半期に月平均1万3000の求人枠が未充填となった。これに対し、2019年の未充填数の月間平均は7500枠だった。2023年第1四半期の失業率(季節調整前3.1%)は2022年第1四半期と同じで、2017年から2019年までのハワイの平均失業率2.5%より高いままとなっている。
・人口増加の鈍化。ハワイではここ数年、純転出が発生している。米国国勢調査局によると、ハワイは2020年4月から2022年7月にかけて居住人口が1万5000人以上減少し、その大半はハワイと米国本土の間の移動によるものとなっている。
・破産申請件数の増加。4年連続で減少していた破産申請件数が、2023年最初の4カ月間に7%増加している。
DBEDTによると、実質国内生産に関する利用可能なデータに基づき、2022年末時点で実質GDPは2019年と比較して95.2%回復した。
観光関連部門(運輸、小売、芸術、娯楽・レクリエーション、宿泊、飲食サービス)の実質GDPは83.8%、非観光関連部門は98.7%に回復している。
2022年の非農業部門給与総雇用者数は98.9%回復し、季節調整前の3.5%だった2022年の失業率は、2.5%だった2019年の水準より1%高くなっている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.2)