キュウリやアボカド、カニ(もしくはカニカマ)などの具材を海苔とシャリで巻いたカリフォルニアロールは、アメリカ全土の寿司レストランで定番メニューとなっているが、その起源はカリフォルニアではないとニュースメディアのNexstarが伝えている。
実は、カリフォルニアロールは、カナダのバンクーバーが発祥の地と言われている。Food52によると、ヒデカズ・トウジョウ氏は70年代初頭にバンクーバーにやってきて、市内で唯一の寿司レストランで働き始めたという。
当時、客の多くは天ぷらや照り焼きは好きでも、生魚にはあまり興味がなかった。しかし、熱を通したカニを食べる人はいたので、加熱済みのカニやアボカド、キュウリを使った巻き寿司を作ったのだという。さらにトウジョウ氏は、客の好みに合わせ、巻き寿司を裏返してみた。通常の巻き寿司では具材とシャリを海苔で巻くが、シャリが外側に来るようにしたのだ。同氏は当時について、「日本ではみんなからバッシングされた。しかし、人々はそれが好きなのだ」と、Great Big Storyのインタビューで語っている。
この巻き寿司メニューは、バンクーバーにあるトウジョウ氏のレストランで現在でも味わうことができる。ただし、メニューには「トウジョウ巻き」と書かれており、カリフォルニアロールの名前はどこにもない。
では、カリフォルニアロールという名称はどこから来たのか? トウジョウ氏いわく、この名前がついたのは日本のメディアによる大雑把な表現が原因だという。西海岸一帯には大きな日本人コミュニティがあるにもかかわらず、「日本では何でも『カリフォルニア』に含めてしまう」と同氏はInsiderに語っている。Culture Tripによると、同氏のレストランはロサンゼルスからも多くの人が訪れるようになったそうで、それがカリフォルニアという名前につながった可能性も考えられる。
一方、ロサンゼルスでロール寿司を発明したと主張するもう一人の寿司職人、ノリトシ・カナイ氏もいる。Los Angeles Timesの記事によると、彼は日本食の輸入ビジネスを通じて、アメリカで寿司を普及させたとされている。
しかし、トウジョウ氏は、「カリフォルニアロールという料理は、50年前に自分の手で作り上げたものだ」と断言する。「日本人にはプライドがある」と同氏はFood52に語っている。「良い料理人は決して真似はしない。絶対に」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.11)