ハワイ州を含め全米でフェンタニルの過剰摂取による被害が増加傾向にあるが、オピオイド過剰摂取に対する救命薬の「ナルカン(ナロキソン)」を無料配布する自動販売機が、ホノルルに加え、ハワイ島ヒロにも設置されたとKHON2が伝えている。
今回ヒロに設置されたナルカンの自動販売機は2台で、1台は「ビッグアイランド薬物乱用防止評議会(Big Island Substance Abuse Council:BISAC)」のフリヒア・ケ・オラ・デトックス・クリニックの外に、もう1台はヒロ公共図書館向かいの外来クリニックの外にある。2台とも24時間稼働している。
BISACの最高責任者、ハンナ・プレストン・ピタ博士によると、このような自動販売機は珍しいが、ハワイ島では切実に必要とされているという。また、ハワイ島フェンタニル・タスクフォース共同代表のウォーリー・ラウ氏は、特にヒロのような小さなコミュニティでは、中毒、過剰摂取、メンタルヘルス問題には、残念ながら偏見があると語っている。
ナルカンの必要性があるのはヒロだけではない。2月には、カウアイ島の警察官がオピオイドの過剰摂取をしていた女性にナロキソンを投与することができた。この女性は1回の投与では症状が改善しなかったが、別の警官が現場に到着し、2回目の投与を行うことができたため、その後女性は意識を取り戻し、病院に搬送された。
ホノルル救急サービス・スーパーバイザーのサニー・ジョンソン氏は、複数回の投与が必要なケースはよくあるとし、「現場では、複数の用量を与えなければならないか、または鼻腔内投与を行っても症状が改善せず、静脈内投与を行わなければならない場合が多々ある」と彼女は説明した。
ナルカンはアヘン受容体を遮断し、救急隊が到着するまでの間に投与することで、過剰摂取を効果的に逆転させることができる。ナルカンの自動販売機をハワイ全土で運用する手助けをした「ハワイ・ヘルス&ハーム・リダクション・センター」のエグゼクティブディレクターであるヘザー・ラスク氏は、「ハワイでは28時間ごとに過剰摂取が起きている。ナロキソンは命を救う非常に安全な薬だが、救助できるのは、人々がナロキソンを手に入れることができる場合に限られる」と語った。
(日刊サン 2024.3.14)
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