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【コミュニティ発信ニュース】京都家元から二人の宗匠が来布、『初釜』開催 表千家ハワイ支部、今年創立65周年

 お茶の歴史は古く、8世紀の平安時代にさかのぼるが、12世紀終わりの鎌倉時代に再び中国から伝わった茶は、14世紀には寺院、武家社会、さらには庶民にも広がり、16世紀安土桃山時代に千利休が茶の湯を大成させた。

 

 

菅田宗匠(左)と木村宗匠、お二人ともにこやかで気さく

 

 利休がめざした茶の湯は、質素で心を大切にする“わび茶”で、日本ならではの風土の中で完成された。

 利休の茶の湯の道統は表千家をはじめ、裏千家、武者小路千家のいわゆる三千家を中心として今日まで伝えられている。

 茶道では新春のお稽古はじめのことを“初釜”と呼び、ハワイでも2月15日、表千家同門会ハワイ支部の初釜が開かれ、京都から家元教授である木村雅基、菅田浩行の両宗匠が来布。ハワイ日本文化センターにある茶室“星光庵”で、伊藤康一在ホノルル日本国総領事夫妻やジョン・ワイヘエ元ハワイ州知事夫妻、ハワイ日本文化センター代表はじめ関係者や同門会員を招いた茶会を開催した。

 長い年月、家元の内弟子として修行を積んだ者だけに許される黒い十徳(じゅっとく)を着た宗匠が、二人揃ってハワイに来るのは実に稀なこと。

「こんなに近くで、しかも気さくにお話をしていただきながら、宗匠直々のお点前を拝見できるなんて光栄です」

 と同門会員の皆さんは大喜び。菅田宗匠は、

「表千家同門会のハワイ支部は世界で一番歴史が古く、今年65周年を迎えます。6月にはハワイを始めロサンゼルスやワシントンなどの支部がサンフランシスコに集まり、現家元である15代猶有斎(ゆうゆうさい)千宗左(せんそうさ)宗匠が献茶をされます。ハワイへは毎年、木村と私とで順繰りに来てお稽古をしていますが、今年はお年始の初釜ということで二人で参りました」

 一般の会員、資格者、教授者向けに3日間、みっちり講習会を行うのだという。

「稽古は、古(いにしえ)を稽(かんが)うという字のとおり、古人を思いおこし、その経験に習うことといえます。茶道の教授において点前を見習うという身体で覚えることはとても大切です」  表千家のお点前は、格式張ったところもなく実に穏やか。“異風になく、結構になく、さすがに手ぎわよく、目に立たぬ”ことを理想としてきた茶の湯の心を、二人の宗匠を通して大いに感じられた。

 

 

 

 お道具は京都からも運ばれ、昼の床の間には先代の家元である而妙斎宗旦宗匠直筆の子画賛“百千宝”のお軸。初釜らしい一年の寿ぎを表していた。

 

(取材・文 奥山夏実)

 

表千家同門会ハワイ支部では、茶の湯を体験したい、お稽古を見学したい、習いたいという人を募っている。問い合わせは下記へ。 TEL:808-521-4139(Atsuko Igarashi)

 

(日刊サン 2020.3.2)

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