悪いことはいつまでも続かない いつか晴れの日が来る 　

　今回のコロナに対し、当初、私は楽観的に見ていました。悪いことが起きてもそれがずっと続くことはありません。いつかは終わり、晴れの日が必ず来る。ただ期間が長いか短いかだけです。ところが、あちこちのお店が閉めなければならず、モノが、人が、お金が動かないという状況になってしまった。そんなとき会社のトップである自分が負に入ってしまったら社員が戸惑うだけです。2月に行った幹部ミーティングで「心配するな、解雇はしない！」と明言しました。「収入がゼロになっても3カ月間は給料を払い続けられるから安心しなさい」と。たいがいは3カ月以内に事態は収束しますからそう見ていました。ところが今回はすこし長引いている。売り上げは6割近く減収減益となっています。 

ハワイを不景気にした４つの災いも盤石の体制で乗りきった 

　サンヌードルは1981年創業です。以来、さまざまな危機がありました。湾岸戦争、911、SARS、リーマンショック。ハワイを一時的にも不景気にしたのはこの4つだと思いますが、わが社は、準備してきた取り組みがその危機の直前に実を結び、ほとんどダメージを受けずに乗りきることができました。それまで地道に積み上げてきた結果です。たとえばSARSでは大手レストラン・チェーンとの契約が決まり、むしろ前年より売り上げを伸ばすことができた。ハワイのサイミンといえばココと呼ばれるほどに有名なブランドの麺をうちで製造することになったのも、リーマンショック時でした。創業以来2019年まで、売り上げが前年を下まわったことはありません。　

 　これまで従業員に対し口酸っぱくいってきたのが「無駄を作るな」「無駄遣いをするな」「捨てるものを防ごう」「余分な在庫は買わない」「必要なものを必要なだけ、必要な時に」「利益を上げよう」「税金を払え」「残ったお金を蓄えよう」。今回「社長が常々言ってきたことがやっと理解できました」と従業員たちが言ってくれました。危機に直面するまでの準備が大切です。その事態に至ったときに、みんなが前を向けるような環境、土台づくりをやっておくことが大切だと今回も痛感しました。