ワイキキのど真ん中、“ワイキキ横丁”に東京新橋の人気ラーメン店“バリ男”がハワイ初上陸したのが2016年。

　厳選した豚骨のみを20時間以上煮込んだクリーミーな豚骨スープと、特注のハワイで一番太い麺と、注文ごとに切り分ける肉厚のチャーシューと山盛りの野菜が奏でる渾身の一杯のインパクトはすごい！　マネのできない唯一無二の存在感と、クセになるほどの味わいに、ローカルたちが次々と魅了され、店内はいつも満席の人気店となった。

　男っぽい店名に最初は敬遠していた女性たちも、男性家族や男友達に誘われて一度食べると、「背脂がプカプカした濃厚豚骨スープなのに、くどさがなくて後を引く旨味！ 醤油タレもシャープで太麺とマッチング、おいしさが相乗効果でぐんぐん増していく！！」と、大ウケ。

　いつしか女性の一人客も増えて、ハワイの名店として定着。2019年には、アラモアナセンター内の、マカイマーケットフードコートに２号店を出店。アラモアナ店でしか食べられないメニューも加え、元気に営業を続けていた。

　ところが新型コロナウイルスに伴う、ハワイ州の外出禁止令と、レストランの店内飲食禁止令の影響で、“ワイキキ横丁”は全店休業に。

　アラモアナセンターのフードコートも大半の店が休業に追い込まれたが、バリ男ハワイの大嶽勇人代表は、「体が動く間は店を閉めない」ことを英断。ただ当初はラーメンをメニューから外し、以前から人気の唐揚げや餃子、チャーハンなどのメニューに絞った。なぜなら、ラーメンの豚骨スープは昼夜を問わず煮込むために手がかかりすぎるのと、20時間以上煮込むために莫大なガス代がかかり、自粛の中でどれだけのお客さんが来てくれるのか分からなかったからだ。

　それでも前向きに、新たなメガ盛りのリブアイステーキなど、バリ男らしい男気のあるプレートも登場。SNSで発信すると、常連さんが買いに来てくれた。

　外出禁止令が1週間2週間と過ぎていくうちに、バリ男のらーめんファンから、「らーめんの注文はできないの？」、「家でも本格的なラーメンが食べたい」と、問い合わせが増えた。

　店の厨房で陣頭指揮を取っていた大嶽代表は、ラーメンの再開を決意。店頭での注文とともに、オンラインオーダーも立ち上げ、自宅にできたてのラーメンを出前するデリバリーサービスを始めた。

「テイクアウトでも美味しくラーメンをお召し上がりいただけるよう、麺とスープは分けてお渡ししています。麺は茹でていない生麺も選べます。茹で時間の表記もしてあるので、ご自宅で簡単にアツアツのラーメンが作れてしまいます。配達はホノルル市内限定で、オンラインのみの受け付けとなります。割引は対象外ですが、配達料金は無料サービスします」

　オンラインで注文し、店まで取りに来てくれた人には15％割引をする。男前ですね！ 「気持ちのこもったラーメンを作っていますから。お客さんの笑顔に再会できるのがうれしくて、配達は僕がしているんですよ。店でしていた通り、ニンニクや自家製の唐辛子も無料で付けますので、バリ男ならではの味変も楽しんでいただけます。ステイホームを少しでも豊かにするために、お役に立ちたいです」