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【アラ古希からのユルユラAlohaマインド】芸術は人生の“必要”無駄
2011年に98歳で亡くなられた著名な彫刻家、佐藤忠良先生の生前の講演会で、『芸術を必要とする人にとって、それは無くてはならないものだけれど、必要としない人にとってはただの無駄という事になる様です』との話を聞きました。私が40歳半ばの頃、ほぼ30年前のことになります。
書家・版画家・エッセイストの篠田桃紅(しのだ とうこう)さんが、107歳で2021年3月1日に亡くなられました。彼女の最後の本が、2021年3月31日に第1刷が発行、タイトルが「これでおしまい」。彼女は自分の命もそろそろ尽きるであろうと思っていたのでしょうか。その本の中にも芸術と人生についての彼女の感想が記されてありました。
『衣食住は生きていくのに必要だけど、芸術なんていうのは全部無駄なことですよ。しかしまあ、人間というのは何でこんなにどうでもいいことを一生懸命やるんでしょうね。ほんとうに不思議な気がします。できないことに挑もうとするのも人間だし、それは無理だと分かるのも人間。両極のあいだで右往左往して生きている。芸術は、その右往左往しているあいだにできた産物ですね』
ほかにも人生の感想として、『歳をとってはじめて得られる喜びがある』とも、記されてありました。
私はこの春から月に2回版画教室へ通い始めました。今月初めにそのクラスに行きましたとき、篠田桃紅展のパンフレットを目にしました。展覧会の期間は4月16日から6月22日。6月13日にその展覧会へ行ってきました。作品のすべてが素晴らしく沢山の感動を覚えました。リトグラフという技法と手書きの書もありました。
私が今版画教室で習っている技法はシルクスクリーン。水彩・アクリル絵・油絵では想像できない色の変化に毎回感激しています。ある展覧会で素敵だなあ~という絵に出会い、それがシルクスクリーンという技法で描かれていて、作者の年齢が80歳を越えていたのに驚き、私も、これを勉強したいと思ったのが、版画教室へ行き始めるきっかけになりました。
私は数ヶ月前からの急性難聴で耳が急に遠くなり、娘に聞き違いで叱られることもたびたびです。でも、版画教室で創作に励んでいる時は、気落ちするような出来事も全く忘れてウキウキしてしまいます。
先生に「私が最高齢ですか?」と聞きましたら、「いえいえ、90歳の生徒さんもいますよ、まだまだ、これから沢山創れますよ」と励ましてくれました。これが、芸術は人生の“必要”無駄ということでしょうか。
これからの人生へ アラ古希からのユルユラAlohaマインド No.115
蒼井 絹子
北海道生まれ。学習院女子短期大学英文科卒業。
1984年「ベルーシの涙は、スニーカーブルース」が、NHK北海道ラジオ創作ドラマで採用
1987~89年 3人の小学生の子供達を連れて渡米。シアトルのグリッフィンカレッジに 留学・卒業。シアトル日本語放送局にて番組を担当
1994年 北海道にて、陶芸工房【G-club】を開設
1997~2001年 北の生活産業デザインコンペにて入選・入賞
2002年 財団法人中小企業総合研究機構会長賞を「マグネット・アート」で受賞
2003年 東京に工房・オフィスを開設
2011年 日本旅行作家協会入会。東京都TASKものづくりコンテストにて奨励賞を受賞
2012年 東京都美術館「東京展」にて「マグネットアート」入選
2014年7月7日より、ハワイマッサージアカデミーへM-1(技術取得ビザ)にて留学
2015年1月17日 同校卒業
2020年12月 著書「人生の“サバティカル”留学」を上梓