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犬と猫の祖先「ミアキス」アウトドア派が犬に、インドア派が猫に進化
さて今回は、私たちに最も身近な動物、犬と猫のトリビアでTake a Breakです。
約1万年前から飼われている犬と猫
犬(イエイヌ)は1万5000年以上前に狼から別れて生まれた種と考えられています。ラテン語で「イヌ、オオカミ、家族」を意味する”Cains lupus familiaris”という学名を持つイエイヌは、約1万年前、人類史上初の家畜として選ばれました。猫が飼育され始めたのは犬より遅く、現在分かっている最古の飼育の記録は9,500年前。キプロス島で発見された貴人の墓の隣に埋葬されているのが見つかっています。
犬と猫は同じ「ネコ目」
生物学上、犬は「ネコ目・イヌ科・イヌ属」に分類されています。ネコ目には「イヌ亜目」と「ネコ亜目」の2つの亜目があり、イヌ亜目にはイヌ、イタチ、アライグマ、クマの他、アシカ、アザラシなどの海獣も属しています。一方で猫は「ネコ目・ネコ科・ネコ属」となり、ネコ亜目に分類されています。そんなネコ目の祖先が、約6500万年前~4500万年前に生息していたミアキスという動物です。
共通の祖先、ミアキス
クマやタヌキの祖先でもあるミアキスは、ラテン語で「動物の母」という意味があります。この小型肉食獣は、約6,500万〜4,800年前、ヨーロッパ大陸から北米大陸にかけて生息していました。体長は20〜30cmで、ほっそりとした胴体に長い尾を持つその姿はイタチのようだったと言われています。短い4本の脚の先には猫のように出し入れできる爪があり、骨盤は犬に近い形をしていました。この時代における最強の捕食者はヒアエノドンという肉食獣でした。最大で体長3m、体重500kgにもなる彼らが地上を跋扈していため、後から出現したミアキスは危険を避けるために森林の木の上で生活し、爬虫類や鳥、それらの卵などを餌としていました。
アウトドア派グループが草原へ移動
その後、森林の生存競争が激化したため、一部のミアキスは木の上から草原へと生活の場を移しましたが、このアウトドア派グループが現在の犬の祖先になりました。彼らは、約1,200万年前までにキノディクティスという動物に進化、さらにトマルクタスという動物に進化しました。草原では身を隠す場所がないため、天敵などからすぐに逃れられるよう、身体は徐々に筋肉質になって行き、脚は長く速く走れるものへと進化していきました。一方、ミアキス時代に持っていた出し入れ自在の爪は退化していきました。
森に残ったインドア派グループ
翻って、草原へ移動せず森林に残った「インドア派」ミアキスが猫の祖先です。約2500万年前、彼らは現代のジャコウネコのような姿をしたプロアイルルスというに進化し、その後プセウダエルルスへと進化しました。アウトドア派グループとは逆に、出し入れ自在の爪はより鋭くなり、大きな眼に鋭利な歯、長い尾を持つようになりました。この進化によって、ミアキス時代よりも動きが機敏になり、木登りもさらに得意になったのです。
時々、海で泳ぐ猫がネットニュースで話題になったり、散歩があまり好きでない犬を飼っているという人がいますが、これは太古の昔、彼らの祖先が同じだったことに関係しているのかもしれません。
トリビアでTake a Break
(日刊サン)
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