ウイスコンシンで独り言 大きいことはいいこと?
僕は40年ほど前にオーストラリアへ行きました。そこは行けども行けどもどこまでも続く大陸。広々とした街並みを見て「いいなあ」って思いました。今住むウイスコンシンも同じような広々とした所です。ちょっと町をはずれれば、どこまでも続く平原が見られます。その意味では昔憧れたあの広々とした所にいるわけです。
でもいざ住んでみると、買い物はもちろんレストラン、図書館、モールなど、結構離れているので、どこへ行くにも車がいりますね。それからスーパーなどの大きさが半端じゃないです。ハワイのスーパーの5倍か6倍はあります。駐車場も広く、ちょっと買い物して帰ってくると半日が過ぎてしまうことがあります。
ですから必要な物をあらかじめ決めておいて、あちこち見ないようにして、要領よく買い物をしようとしても売り場が広いのであちこち歩き回り時間が経ってしまいます。それと飲料水とか洗剤などの容器が大きくて、重いので、どうしてもカートを利用しないと大変です。
それにしてもあの洗剤などの大きな容器は収納が大変だし、使う度に大きな容器の出し入れが結構大変ではないかと思います。こちらの人達は週に一回などとまとめ買いをしますが、そんな際には冷蔵庫への収納も大変で、その結果大きい冷蔵庫が必要で、大きな冷蔵庫があるので、まとめ買いにも拍車がかかるように思えます。
こんな経験をしていると、自分の昔の必要な物を必要なだけ買っていたハワイとか日本の生活が懐かしくなります。ハワイに居た頃はうっかり何かを切らした時、すぐ近くの店へ行って帰って来るのに15分とかかりませんでした。こちらではそんなことはできません。
そんなことを思っていると、「大きいこと」が本当にいいことか疑問を持ちます。大きな車に広い庭と大きな家。それは裕福さ快適さの象徴かもしれませんが、ちょっとした外出に大きな車で出かけるのは何とも滑稽な気がするし、燃料効率も悪いし、洗車や修理・維持費など大変だと思います。住む家だって、だだっ広いと、掃除に時間がかかるし冷暖房が高くつくし、全く使用しない部屋まで冷暖房しているのは資源の無駄と思えます。
昔「大きいことはいいこと」とアメリカ的生活に憧れたこともありますが、今は車は小回りが利いて、駐車、維持管理の楽な小型車が好き。家でも二人で住むなら、大きい場所はいらないです。こちらの人は大きな家や庭を管理するためのいろいろ工具や器具を持ち、ボートなんかを持つ人も多い。そうするとそれを保管する場所まで必要になり、無駄がいっぱい生じている気がします。私はもう歳だからかもしれないですが、物を持たない、簡素な生き方に共鳴しています。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.84
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。