“IT”や“パラノーマル・アクティビィティ”はハラハラ、ドキドキ観られて好きだが、アレだけは無理!と周りが口を揃えて言うホラー映画がある。生々しい人体損壊描写が多い“ソウ”だ。
純朴で心優しい女子高生ミリー。冴えない見た目と気弱な性格のせいか、同級生の女子グループや教師からいじめられているが、親友のナイラ、ジョシュと楽しく過ごしたり、片想いをしたりとごく普通の高校生活を送っていた。
しかし、アメフトの試合の応援を終えた夜遅く、連続殺人犯ブッチャーに襲われ骨董品の短剣“ラ・ドーラ”で刺されてしまう。幸い命は助かったものの、なぜか彼女とブッチャーの身体は入れ替わっていた―パニックになりながらも、自分の身体を取り戻すために二人の親友と共に奮闘する。
残忍な殺人鬼ブッチャーの魂が入った途端、垢抜けない雰囲気だった主人公ミリーはどこへやら、表情もファッションも自信に満ちたイケイケな女子高生へ変貌する様子には脱帽。
反対に、殺人鬼の身体になってしまったミリー本人はイマイチ勝手がわからず、傍から見ると乙女走りや口調がキュートな中年男性に…という二人のギャップにクスクス笑っていられる時間が長かった。
また、短剣で刺される物騒な場面も、呪術や魔法めいたファンタジックな演出で恐怖を感じない。ひとりで助けを呼びに行く人や、お楽しみ最中のカップルは死ぬ、といったわかりやすいホラー映画のセオリーはきちんと踏襲しているが。
“君の名は。”では時を越えて高校生の男女が、“メン・イン・キャット(Nine Lives)”では傲慢な社長とペットの猫が、と入れ替わりを題材にしたヒット映画はいくつもあれど、本作のようなブラックユーモア溢れる“スイッチ”は斬新で大好きだ。
こんな殺害方法アリ?と痛そうで思わず眉をひそめる箇所は確かに少々あったが、それ以外は子どもも楽しめそうな直球コメディ!これならば、“ソウ”のようなグロテスクホラーは苦手、という方も軽いノリで鑑賞出来るはず。
●加西 来夏 (かさい らいか)
映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/こちら、以前ご紹介した大好きな“ハッピー・デス・デイ 2U”と同じ監督作品だから観た、というのが大きいです。この世界観がいいんだよな~と思っていたら、どうやら二作品の主人公は同じ世界にいるそう。ハッピー・デス・デイは3も出るようなので楽しみ。
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