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ママのための教え方、学び方

言語の習得は 早ければ早いほどいいって本当?

ママのための教え方、学び方 Vol.6

 英語の習得が得意でない日本人にとって、苦労せずバイリンガルになれることは夢のようですね。たしかに、幼い頃から英語の音に慣れておくことは英語脳を成長させるには最短の手段でしょう。ですが、脳の理解力の成長という点からみると、少し気をつけておきたいところ。 

 脳の成長は10才ごろまで続くと言われています。つまりそれまでは脳みそは発展途上。未熟ながらに脳は言語という大切な道具を使ってものすごい勢いで情報を吸収して処理をしています。人生のうちでもっとも貴重なスポンジ脳の時期。 

 普通であればひとつの母語を使って一生懸命脳が働きます。ですが、この言語という道具が中途半端なままで複数あるとなると、脳の理解力は当然低くなり、混乱します。 

 まだ幼いから…うちの子はシャイだし…と解釈していて、10才すぎてからこのような現象になって気がつくことになるやもしれません。会話を聞いてわかるけど自分では言葉が出ない、文章になると読めない。単語や短い文は言えるけど、複雑な会話ができず幼い印象がぬけきれない。一つの情報は理解できるけど、複数になってくると前に聞いた情報がどこかにいってしまう。言語能力だけでなく、コミュニケーション能力にも影響が出てくることがあります。 

 日本語で育った子が未就学年、あるいは低学年で現地校に通いはじめたとき、もちろん最初のころは授業はちんぷんかーんぷんぺらぺーら、頭の上を飛び交うばかりで理解できません。 

 頭の上で飛び交うちんぷんかんぷんを眺めながら、子供たちは本能的に「やりすごす」ことを学びます。言葉の意味をキャッチすることを放棄します。そしてコミュニケーション能力を健全に育てることができなくなってしまいます。 

 どうしたいの?と聞いても、どうも無反応。こうなの?ああなの?と手助けをすると、ウン、イヤ、とやっと反応する。もちろん、英語も日本語も聞いてなんとなく理解はできる力はあるのですが、コミュニケーション力と、言語能力はまた別なのです。 

 「低学年(10才)まではまずひとつの母語を意識したい」小学生(特に低学年)の学習情報は人生の基礎作り。しっかり脳でキャッチして体にしみこませておきたい。そのための言語能力は、すべての学びの土台なのです。 

 まずは一言語、会話だけでなく、自然に書く、文章を読解する能力を築いてほしい。その言語を思考の基においた上で、母語以外の言語を学ぶことをお勧めします。言語能力だけでなく、説得力、発想力、発信力をしっかり育てて世界の幸せをリードする大人に育ってもらいたいと思います。

(日刊サン 2020.5.29)

大野 奈津

オンラインを通じて、世界中の小中学生に勉強を教える個別指導塾YEAH MATH!を運営。モンテッソーリ教育の小学生年次向け指導資格取得、脳科学、心理学によるコミュニケーション法(NLP)でのカウンセリング、コーチングを学び、ご家庭のサポートもしています。

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