夜はとうに明け、朝陽が眩しい。もう10時間経ったか―デッドバイデイライト(以下DBD)は、仲間3人と力を合わせ、殺人鬼の攻撃をかわしながら脱出する大ヒットゲームなのだが、ここまで熱中するのは好きな本作のキャラクターでプレイが出来るからだ。
深夜、娘のシャロンが自宅からいなくなっていることに気付き動転するローズ。夫のクリスと共に近所を探し回り、崖から落ちそうなところを間一髪で救う。しかし「お家に帰るの、サイレントヒルに!」と、聞いたこともない地名をうわ言で叫ぶのだった。気になったローズは“サイレントヒル”について調べ、実在するゴーストタウンであることを突き止める。娘の奇妙な言動に何か関係があるかも知れない、と夫に秘密でシャロンと車で現地へ向かうものの、女性警官シビルに誘拐犯と疑われた挙句に街の手前で事故を起こし、気絶している間にシャロンを見失ってしまう。
劇場で、開始数分で帰ろうかと悩んだ。カクカク、クネクネとおよそこの世のものとは思えない動きをする人型のナニカが霧の中から現れ、ぬらりとした体表で目や鼻、口が無くさらに酸を噴きかけてくる…アウト!漫画“ゲゲゲの鬼太郎”に出てきた“ぬっぺふほふ”が、1000%増しで怖くなった感じ、といっても伝わらないだろうが、とにかく他のクリーチャー達もそれぞれ単体で主役を張れるほど恐ろしい。そうした表面的な恐怖に加え、魔女狩りを行うようなカルト宗教を盲信する人々、シングルマザーへの偏見、虐待された子供が生み出す心の闇など現実味のある問題を含んで奥深いストーリーとなっている。また、霧が立ち込め、灰が降り注ぐミステリアスな街にひとたびサイレンが鳴ると、血と錆にまみれた異世界に変貌するという、雰囲気そのものも病みつきだ。
DBDには本作以外にも、古典ホラー“ハロウィン”のブギーマンやドラマ“ストレンジャー・シングス”の怪物デモゴルゴンも登場する。映画からゲームに入るのも、その逆も面白いので興味が湧いた方はぜひ。
●加西 来夏 (かさい らいか)
映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/ベースとなった同名タイトルのゲームは遠い昔にプレイしましたが、あまりの恐怖でついぞクリアならず…。
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