【3年ぶりのニューヨーク 5】タイムズ・スクエアでチーズケーキを Part2
すっかり暮れたニューヨーク、タイムズ・スクエアにあるレストラン“Junior’s Famous Cheesecake”で、私は困ったことになっていました。
美味しくハンバーガー、チーズケーキを頂いたまでは良かったのですが、いざ支払というのに、私のクレジットカードが使えないのです。ウエイトレスは私のカードでは落とせないので、現金での支払いを求めてきたのですが、私はあいにくUSドルを持っていなかったのです。
彼女は「ATMで現金を出せないか?」と言ってきましたが、ATMカードも持っていませんでした。私は日本円を持っていたので、1万円札を彼女に見せましたが、途中から出てきたマネージャーは「店では日本円は受け取れません」と言います。私は「ドルに換えられる両替所」の所在を尋ねました。
レストランは最も忙しいピーク時になっており、こうして私だけに関わっているわけにもいかず、最終的に「目の前のマリオットホテルならば両替ができるだろう」という私の提案を受け入れてくれ、私を店から出してくれました。しかし、向かったホテルの両替のサービスはすでに閉まっていました。フロントの係員が、別の両替所を紹介してくれたので、今度は43ストリートにあるという場所へ、タイムズ・スクエアの人の波をかき分けて行きました。しかし、それらしきものは見当たらないのです。結局は何もできずじまいでレストランに戻ることになってしまいました。かれこれレストランを飛び出してから30分以上は過ぎたでしょう。
レストランに戻り、彼女に一連のことを告げると黙って聞いていました。私をレストランから出した段階で、「この男はいずれにせよ支払う気はない」と読んだことでしょう。しかし、私が30分後に再び戻ってきた行動を知ってか、彼女は「明日でも良い」と言ってきました。私はシニアマネージャーにていねいに謝ると、彼は「こうした事はよくあるものだ」と言い笑顔で返してきました。これで3時間にも及んだ騒動の末、レストランを後にすることができました。
翌日の午後、再びレストランを訪れました。例のシニアマネージャーは、私が再び現れたので驚いているようでもありました。私は請求支払金額$36.36に対して、キャッシュ$46を担当女性マネージャーに渡しました。私が「自分を信用してくれてありがとう」と伝えると、彼女からも「あなたの正直さは嬉しいですね」と言ってくれました。
いろんな思いがけないことがあっても、人はそれぞれの経験や立場、責任から、事情を捉え判断をしていきます。しかし、国柄や習慣、考え方の違いがあっても「人は人としてたとえ失敗や間違いあっても、“信頼を失わない、信頼を裏切らない”ことが大事」ということを学びました。
もし、アメリカのニューヨークを訪れる機会がありましたら、ぜひ、伝統あるチーズケーキを食べにこのレストランを訪れてください。しかし、使えるクレジットカードかキャッシュカード、または現金も忘れずに。