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コラム 世界のマグロを追いかけて男の旅 こぼれ話

ボストンでマグロとの対面

 久しぶりのマグロとの対面を、ボストンで果たしました。ちょうどカナダからの出荷があるということで、その検品に立会うことができたのです。水産工場に氷詰めで運ばれてきたのは、東大西洋のカナダ沖延縄船によるキハダマグロでした。

 マグロには、本マグロ(クロマグロ)、ハワイで最も水揚げの多いバチマグロ(メバチマグロ)キハダマグロ、さらにビンチョウマグロ(ビンナガ)などがあります。ハワイの市場ではなかなか本マグロは見かけることはないですが、バチマグロ、キハダマグロ、そしてビンチョウマグロは、太平洋上で操業している延縄船からの水揚げがほぼ毎日あります。

 今回のキハダマグロは、H&GHeaded and Gutted・頭、内蔵、尾を取り除いた状態)で2030キロと小ぶりでしたが、やはりカナダ沖の冷たい海水で泳いでいマグロだけあって、色も鮮やかな赤みがあり、キハダマグロとはいえ脂も多少あるものでした(一般的には、キハダマグロは最も脂の薄いマグロと言われています)。

 現場では、一本一本のマグロの腹に詰められた氷を取り出して重量を測り、そして尾の最後の部分をナイフで1.5センチほどの厚さで半円に切り取り、刺し棒と言われる道具を使ってマグロの背の部分にグサッと刺して、身肉を取り出します。尾切りの部分と、刺し棒で取り出した背中の身で、マグロの良し悪しを見るわけですね。それぞれ、色目のきれいなものはAグレード、くすんだり変色が見えたりしているものはBグレードと、一本一本を検品をしていきます。

 仕事が一段落ついたところで、マグロ一本を捌いて、休憩室で皆でテーブルを囲んで刺し身パーティーとなりました。全部は食べきれないので、それぞれ家への持ち帰りとなります。お皿にのせられた厚切りのマグロの刺し身は、ちょっと脂もあってなかなか美味しいいものでした。

 私は実に3年ぶりにボストンを訪れたのでした。今は日本に滞在していますので、長年住んでいたアメリカに戻る機会を狙っていたのですが、COVID-19が日米と猛威を振るっていたので海外に出るのが億劫になっていたのです。しかし、今回はニューヨークに住んでいる娘の家族に二人目の孫ができたので、思いきって渡米を果たしました。それで、ニューヨーク滞在中の合間をみてのボストン訪問となったわけです。

 ボストンはこれから本格的な本マグロシーズンとなり、ボストン沖にはフロリダ半島からのガルフストリームに乗って本マグロが北上してきます。夏場はこの辺りで餌を食べ、8月の終わりになると脂ののった本マグロが釣れるようになります。日本の豊洲市場でも人気のボストンマグロとなります。  

STORY 192

永井 修二

北海道出身、在米38年 鮪関連水産会社34年勤続

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