時にはレストランで食事をしても、日頃の家庭の食卓にあっても、魚は欠かせないものです。しかし、最近の値上がりでは、なかなか気軽に魚も食べられなくなりましたね。
漁師が魚を追いかけて広い海に出ていきますが、海で泳いでいるのは魚だけではなく、クジラやイルカ、アザラシ、アシカ、セイウチなどのさまざまな哺乳類や、ウミガメなどの両生類なども棲息していることはよくご存知のことでしょう。今日は、欧米主導でこうした海洋生物の保護はさらに加速化し規制は厳しくなっています。当然に、漁期や漁域だけではなく、漁具にもさまざま規制があるので、漁にかかる経費は断然に高額になっているわけです。
ところで、こういった海の生き物で、クジラが捕食する魚の量はどのくらいなのでしょう。1年間に3~5億トンと言われています。漁船による漁獲量は、約0.84億トンほどですから(2018年報告)、クジラが捕食する量は比較すると4~6倍になってしまいます。食用となる魚が大量にクジラに捕食されていることがわかります。
日本近海のクジラをみると、カタクチイワシ、サンマ、スケトウダラなどを食べていることは、クジラの胃の中を見ることで明らかになっています。南氷洋に棲息するシロナガスクジラはクジラの中で一番大きく、体長約30m、体重は100トンにもなりますが、主にオキアミを主食としています。ミンククジラは、体重8トン前後、体長は7~8mとなり、オキアミやサンマなどの小魚類を1日に自分の体重の3~4%食べていると言います。
オキアミは、エビそっくりの形をしたプランクトンのことで、南極を中心に世界中の海に生息域を広げていて、小魚の餌となっています。
こうしてみるとクジラ類が大量の魚を捕食していることが分かります。となれば、クジラが食べる魚を、人間が獲って食用できないのかと単純に考えてしまいます。実際に最近の専門家たちも、クジラは海の食物連鎖の中で最上位の捕食者であり、クジラだけを過度に保護することでクジラの数が増え海の生態系のバランスを崩してしてしまっているのではないか、との声があがっています。
カルフォニア海岸にクジラが打ち上げられたり、大西洋側のボストン沖でもそのような事態が起こったりしています。クジラは船に衝突したり、漁網に絡まったり、船からの水中ソナーの音で迷ったり、また、病気や感染症にかかることで、浜辺に打ち上げられたりすることがあります。さらに、太陽活動の変化による地球の磁場の変動で、クジラが方向感覚を失い迷い込むともあるのだと報告されています。
しかし、大半のクジラは、餌を追いかけ浅瀬まで来てしまっていると土地の漁師は証言しています。すなわち、大海で泳いで餌を獲ているはずのクジラが十分な餌を捕まえられず、深追いして岸辺や浅瀬まで来てしまうのだと言うのです。
野生生物の保護はもちろん重要です。しかし海の生態についての本当のことが、まだまだ私たちには捉えられていないのかもしれません。