美味しくお手な価格で楽しめる“カルフォニア・ロール”は、日本人の創意工夫、発明によって世界で大ヒットを遂げました。
そのカルフォニア・ロールに欠かせないのが“カニカマ( Imitationa crab meat)”となるわけですが、その発明もまた日本人によるものでした。今回はそのカニカマの原料となる魚の“すり身”について、話をしてみたいと思います。
さて、そのすり身もまた日本に端を発しています。その歴史はとても古く平安時代、1200年前まで遡ります。やがて全国津々浦々まで広まり、かまぼこ、ちくわ、さつま揚げとして庶民に親しまれる食材へと発展しました。
すり身は、魚ソーセージやつみれなどの原料にもなっています。世界でも、カニ味のカニカマだけではなく、ロブスター味の品などまであり、今や米国やヨーロッパでは、シーフード・サラダ、サンドウィッチなどの材としても欠かせないものとなっています。世界一の消費を誇るのは意外にもフランス、2位はスペインという具合で欧米のスーパーマーケットには必ず置かれています。
すり身という日本語は、そのまま米国を含め海外では、“Surim”と呼んでいます。まさしく“Sushi”や“Karaoke”と同じ世界の言語となっているわけですね。
すり身の原料になる魚は主にスケソウダラですが、イワシ、ホッケなどもあります。私は冬の厳しい北海道函館の出身なのですが、子供のころには、母が獲れたてのイカやイワシをすり鉢ですって、すり身を作ってくれたことを思い出します。それを魚団子にして、熱々の鍋料理を作ってくれました。とても懐かしいですね。
スケソウダラは、脂肪が少なく身質が水っぽくもあり、傷みも早いため鮮魚として流させるには難しかったのです。そこで、かまぼこを初めとする魚練り品の主原料として大いに見込まれるようになったわけです。
すり身用途以外では、フィレにしてフライやムニエル用に、乾燥させて棒鱈(ぼうだら)を作ったりしています。スケソウダラの卵巣は塩漬けにして“タラコ(鱈子)”にしたり、唐辛子を加えて“辛子明太子”などにも重宝されていますね。また、白子は、鱈ちり鍋、味噌汁や、白子ポン酢などの料理として最高です。マダラ(真鱈)の白子に比べると、味が多少劣るために価格は安いようです。東北地方では“タラのアラ汁”も冬の時期には体を温める鍋料理にもなり、捨てるところのない魚として愛されています。
スケソウダラの漁場は、日本海やオホーツク海、ベーリング海などの北太平洋漁場が主な漁場となっています。厳しい冬の北の海だったのです。