新しい年を迎えるにあたり年金の持つ重要性を皆様に認識して頂きたいと思います。
年金は「人生の重大なリスクに備える相互扶助の総合保険」です。重大なリスクとは…
①長生きリスクで、年金は死ぬまでもらえる「終身給付」です。
②病気やケガで障害が残った場合、その程度により障害年金が支給されます。
③死亡した場合、妻や子供に遺族年金が支払われます。年金は、これらのリスクに備えるために毎月保険料を納めて、年金額を増やしていくという自分で作り上げていくものです。そのためには年金の制度について理解しておく必要があります。特に50代になったら日米の年金制度の知識と理解を深め、リタイアメントプランを練っていかれることをお勧めします。では具体的にご説明します。
1.日米の年金制度の概要比較
①給付財源…日本:社会保険方式(保険料拠出)、米国:税方式(租税)
②制度の種類…日本:厚生年金(共済)国民年金、米国:Social Security
③受給資格…日本:加入10年以上(遺族年金25年以上)、米国:40credit(約10年。
受給資格期間=保険料納付期間+カラ期間(20歳から60歳まで日本国籍で海外に在住した期間)+米国年金加入期間(除く重複期間)です。ですから短期間でも日本の年金加入期間があれば大半の方が、日本の年金を実際に保険料を支払った期間に比例して受給できます。
④支給開始年齢 日本:65歳(ただし、生年月日が男性で昭和36年女性で昭和41年以前の方は60歳以降から支給されます)米国:生年月日が1954年以前は66歳から、1955年~1959年は66歳+偶数月、1960年以降の場合は67歳からです。
2.日米社会保障協定の活用(通算)
具体的活用方法ですが、
①日米の年金制度で、受給資格をクリアーするための加入期間が不足する場合、受給資格算定上日米いずれかの加入期間を通算することが出来ます。
②日本の遺族年金の受給資格はこれまでと同様25年以上の加入期間が必要ですが、米国年金の加入期間を加算することにより25年以上となれば、遺族年金の受給資格を獲得できます。日本でも働かれていたご主人が米国で亡くなられた場合、日本の年金加入期間が少なかったので日本の年金申請を諦めていた方の場合も、米国年金加入期間を加算して日本の遺族年金を受給出来ます。
③また加給年金(家族年金)の受給資格は厚生年金加入期間20年以上が条件ですがこの期間の計算上も米国年金加入期間を加算することが出来ます。
加給年金額は生年月日が昭和18年4月2日以降の場合390,100円ですから決して見落とすわけにはいきません。通算の意味は、受給資格をクリアーするために相手国の年金加入期間をみなし加算することが出来るということです。その場合の年金額はあくまでも実際の加入期間相当となります。
日米の年金制度はそれぞれ基本独立したものです。申請手続きも別々にする必要があります。通算とは日米の年金を一つに合算することではありません。
市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。
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