Q. 国民年金への実質減額是正 活動の新しい展開
米国年金の受給者が日本の年金を受給すると米国年金の一定額が減額されてしまう根拠法WEPの国民年金への非適用を求めて、これまで皆さんと共に活動をしてまいりました。
2018年1月外務省北米2課を訪問し、当該国民年金の実質減額の是正について早期解決を申し入れて以降、本紙を通じて当時の高橋ニューヨーク総領事に早期解決の取り組み要請の投函キャンぺーンを展開し、多くの方が投稿をしてくださいました。
その結果、外務本省からの訓令で本件の担当窓口は2018年8月から正式にワシントンの米国大使館となりました。以降は杉山米国大使宛に同様の投稿キャンペーンを行い、私も杉山大使宛に早期解決の要請の手紙を出したり、2019年11月にはワシントンの日本大使館を訪問し担当窓口の吉田書記官と面談もしました。しかしながら交渉中とのことで、交渉の内容、問題点等なにも開示されず、早期の是正を重ねて依頼するに終わったことは当紙面でご報告した通りです。しかし残念なことに、以降何も連絡は頂けませんし、当方から連絡しても返事はありません。これが日本の行政の国民に対する姿勢なのでしょうか。官民お互いに誠実な姿勢で対話を重ねて世の中は良くなってゆくものです。
私がWEPの問題を知ったのは2007年までNY総領事館で領事シニアボランティアとして勤務していた2007年に遡ります。以来WEPについての広報活動を中心にしてまいりましたが、2016年“国民年金しか受給していないのにWEPで減額された”という相談が、是正活動に切り替える契機となりました。しかし、以来3年が経つ今年の初めごろから、多くの皆様にお友達にまでお声をかけて投稿して頂いたりしてきたのに何も変わらないことに正直、自責の念を感じておりました。同時に、一個人の限界を強く感じ始め組織的、継続性のある活動にしなければと意識し始めました。
そんな折、お二人の米国在住の方が活動の支援を申し出てくださいました。期せずしてお二人とも会計士でシカゴとサンディエゴ在住です。それ以来、協議を重ね、現在NPOを目指し米国で会社設立の申請中です。組織名はNenkin Support Center of America。そのミッションは以下の通りです。
「我々の唯一の目的は、日本の国民年金を米国のソーシャルセキュリティシステムのなかの棚ぼた規定(Windfall Elimination Provision or “WEP”)の対象から外すことである。この目的達成のために、志を同じくする者を集め、ひとつの市民運動として活動を広め、継続する。目的はひとつであるため、これが達成された暁には、組織自体の存在意義について、またその後の活動について、その時点のメンバーが協議をして決定することとする。この会の存在意義は広く社会のためであり、非営利団体のものである。従って米国歳入庁(IRS)に非営利団体の免税許可を申請する」
HPも作成中で、今後Facebook、Twitter等を通じて皆様も参加できるようにいたします。活動のためクラウドファンディングも検討しています。今後とも共に目標に向かって頑張りましょう。なお私の「海外年金相談センター」の活動は何ら変わることなく継続致しますので、どうぞ宜しくお願い致します。
No. 82
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市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。