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【年金|国籍よろず相談】米国外に滞在した場合の米国年金受給への影響
正しい情報が伝わらず、米国年金受給者の方が困惑されているテーマである「米国外に滞在した場合の米国年金受給への影響」について説明いたします。
昨年(2022年8月)米国から日本に帰国された米国年金受給者の方から、米国年金の支給が突然中断されたという相談がありました。
実はこれまでに問い合わせが多い相談の一つが、日本帰国に際し米国年金が引き続き支給されるかどうかソーシャルセキュリティー(SS)オフィスに問い合わせたところ、次のような回答であったが本当かというものです。
「米国を6ヶ月以上離れると米国籍者でない限り年金は支払われない」「日本でも継続して米国年金を受給できるが、6か月毎の米国入国が条件である」「米国年金は、米国籍があれば100%支給されるが、グリンカード保持者の場合は25%減額される」「米国籍者やグリンカード保持者以外には米国年金支給は支給されない」というものです。こういったSSオフィスの回答はすべて間違いです。
残念ながらこの様なSSオフィスのいい加減な対応は、全米に及んでいると思われ、しかも、かなり以前から現在まで繰り返されています。米国年金の受給資格を維持するため仕方なく米国籍を取得された方が少なからずいらっしゃいます。現在も年金のために米国籍を取得してしまったと残念がる方が引き続き発生しています。
以上のようなSSオフィスの対応が継続される状況下、今回その懸念が現実となってしまったことに衝撃を受けた次第です。
SSAからのレターによるとUS.Citizenでないことと、6か月以上米国を離れていた理由から支給を中断するというものです。
なぜこのようなことが生じてしまうのかについて考えてみます。
米国SSA(米国社会保障庁)は米国外滞在者に対する米国年金の支払いについて「EN-05-10137 – Your Payments While You are Outside the United States (June 2020):ssa.gov」で次のように説明しています。
①米国籍者の場合、受給資格さえあれば米国外に滞在していても米国年金を支払います(つまり原則、米国籍でないと年金は支給されないということです)。但し、あなたが次の国の国民であるなら、米国外にどれだけ滞在しようと、受給資格さえあれば米国年金は引き続き支払われます。
【例外国】日本、オーストリア、イスラエル、フランス、韓国等21カ国(EN-05-10137の5ページ3.を参照)。
②あなたが米国籍者でなく、日本、フランス、メキシコ、ブラジル等77カ国の国民である場合、6か月以上米国外に滞在した場合、次の例外国を除き、米国年金の支払いは米国を離れた6か月後にストップします。
【例外国】現在、米国が社会保障協定を締結している国:日本、オーストラリア、フランス、韓国等21カ国の居住者(Residents)である場合(EN-05-10137の8ページ6.と10、11ページに協定締結国のリストを参照)。
以上から、日本国籍者は日本に住んでいても米国年金の受給資格さえあれば、米国年金を受給できるということです。
そして年金受給者の当惑の原因は、SSオフィスの担当者がこの例外規定を理解しないまま原則だけを相談者に伝えた結果ということです。
しかしながら懸念されることは、その様なSSオフィスの窓口担当者の不勉強にとどまらず、SSAの本部の対応も100%正しくは行われていないということです。
今回の相談者の方にはすぐクレーム(Form SSA-561-U2 REQUEST FOR RECONSIDERATIONを使用)を提出するようアドバイスをしました。
老後の生活の基盤である年金の制度については、正しい理解のもとに対応してもらいたいものです。
市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。
海外年金相談センター
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