まだ日本にいた頃、外資系金融会社に勤めていた友人のご主人が、会社の内部事情によりLAY OFFとなったことがありました。彼には全く落ち度はなく、逆にとても優秀で人格的にも誰にでも好かれるような方だから、なぜその会社が彼を切るのか私には理解ができませんでした。それよりも、辞令がでた次の日からもう会社に来なくてよい、というような性急さで、「外資って、冷淡なだなぁ」と驚いたのを鮮明に覚えています。そんなことをなぜ思い出したかと言うと、昨年義弟がLAY OFFになったのです。

　彼は、連邦政府（Federal）のコントラクターで、IT関連の仕事をしていますが、要は、米軍が契約する企業の社員として働いていて、米軍がその企業との契約を打ち切り、新しい会社に変えたわけです。だから、義弟には何も落ち度もなく、突然のLAY OFF通告。新契約した会社が、そのまま継続して義弟を雇うということに一応なりました。この展開に驚いている私とは裏腹に、主人をはじめ家族は「そういうものだから仕方ないよね」と受け入れていて、大企業で働くってこういうことなんだと改めて学びました。

　かといって、義弟もかなりこの時はイライラしていました。新しい雇い主が自分にとって良いかわからないわけですから、即転職活動を開始。いくつか転職先の候補があり、ドイツ、シンガポール、韓国の間で働くか悩んでいました。昨年義姉家族と一緒に韓国旅行に行って非常に気に入り、「みき、ごめん。僕は、日本よりも韓国の方が好き」とまで言われ（笑）、だから、韓国に行くんじゃないかなぁ〜と予想していたのですが、結局ドイツに決定。私は、これで「ドイツに遊びに行ける！」と、彼の決断に喜び、「いつ行くの？」としつこく聞いていました。それと同時に、友人も、ご主人の仕事でドイツに引っ越すとわかり、しかも、恐らく義弟と同じ場所で働くのではないかということまで判明し、大興奮。「ドイツで会えるね」なんて話しまでしていました。

　グアムに住む義兄も、「2021年にミリタリーをリタイアするから、そのリタイア後直後にドイツに家族旅行を考えている」と話していて、「それだったら、私たち夫婦もその時期に合わせて行く！」と言って盛り上がっていました。それから、11月にはワーキングビザも無事取得し、年明けには行くかな？ と思っていたら、なんと最後の最後に、先方が言ってきた条件に不服があり、転職を辞退。思いもかけないどんでん返しで、みんなガッカリです。

　なんでも年明け1月からドイツで働いていたら無税だったのが、2月から働き始めると税金がかかるというのがわかり、「だったら行かない」と断ってしまったのです。もちろん一番今回の展開を怒っていたのは義弟なのですが、それでも、私もかなり残念でなりません。結局そのまましばらく同じところで働くことになり、ハワイに残ることになったからか、最近新しい女の子とデートをしているようです。さらに、今回のコロナウィルスの騒ぎで、「転職しなくてよかった」とこうなったことを逆に今は喜んでいます。

　企業に振り回されながらも、すぐに気持ちを切り替えて、自分の人生を立て直している姿は学ばねば、と思いました。