小正月も過ぎ(執筆時)、ようやくお正月が終わった感じの日本です。年明け早々の能登半島地震は、まだまだ被害拡大の様相を見せていますが、ハワイの皆さんは、どんなニュー・イヤーを過ごされましたでしょうか。
連日、現地のニュース映像を目にする中で、ペットについての報道も徐々に増えてきています。今まで生活を共にしてきた大切な家族であるペットたちと、離ればなれにならざるを得ない場合がほとんどで、動物と一緒に身を寄せられる避難施設はほんの一握りのよう。私自身、東北関東大震災の年に生まれた13歳になるスコティッシュ・フォールド(牝猫)と暮らしているので、ニュースを見るにつけ、本当に身につまされる思いです。震災時、彼女は生後2カ月で、被害に遭った横浜のペット・ショップにいました。水道管が破裂して店内が水浸しになったのですが、いち早く対応した店員さんたちに守られて難を逃れたのだと、それから1カ月後我が家に迎える時に聞きました。
日本はハワイと違って、犬猫を扱うペット・ショップが多く、残念ながら中には適切な飼育をしていない悪徳業者も存在します。いわゆる“ブリーダー崩壊”で、一生、狭いケージから出されることなく、繁殖だけをさせられ命を終える猫たちがいるのも現実です。
私がハワイ詣でを始めた当初、日本との違いに驚いたことの一つが、“ペットショップで犬猫が売られていない”ということでした。私の愛猫が大好きなおやつを扱っていることもあり、よくサウス・ベレタニア・ストリートにあるPetcoに行くのですが、そこにはハワイアン・ヒューメイン・ソサエティのボランティアの方々が、里親を待つ犬や猫の世話をしているコーナーがあります。希望者はエアコンの効いた店内で、実際に動物たちを見て、触れて、迎えるかどうかを検討できるのです。
日本での里親譲渡会はショッピング・モールの駐車場やイベント会場など屋外である場合が多くて、季節によっては人間も動物も大変そうです。ハワイアン・ヒューメイン・ソサエティはハワイ州最大の動物保護団体ということもあり、施設や設備、人手も整っていて、認知度も高いからか、ボランティアの方々の表情も日本のように切迫感がなく、とても柔らかい印象を受けます。
今度ハワイへ行ったら、絶対にモイリイリにある施設を見学しなくては。週末だけの預かりボランティアも募集していると聞いたことがあります。日本における犬猫の殺処分率は77%と、世界的に見てもかなり高い数値。不幸な動物たちを少しでも減らすべく、HHSのような大きな団体、国、地域、また個人が一体となった活動が、これからもっと必要になっていくのだと思います。
サンダル足の旅日記 No.4
酒井紀子
翻訳家、訳書として「シックス・センス」「フレンズ ― 6人は永遠に友達!」「アナと雪の女王」(竹書房)など多数。