駅伝の季節がもうすぐやって来ます。私は箱根駅伝などの駅伝が大好きで、よくYouTubeを通して見ます。先頭を走る選手達は各駅伝チームの選り抜きだし、その後方で小さく写ってる選手だって相当に健脚な選手達です。箱根駅伝に参加できるようなチームの中には補欠で駅伝に参加できない優秀な選手もいるだろうし、そうしたチームの補欠でも他チームへ行けば正選手になれる場合があると思います。有力チームで補欠になるくらいなら、弱小チームのエースとして頑張るのとどちらがいいのでしょうか?箱根駅伝を見ながらそんなことを思います。
マルコムグラッドウェルの本(David and Goliath)
この本で著者はハーバード大学でSTEM専攻[科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4つの教育分野の総称]を無事終了し学位が取れる学生の割合が載っていました。
⚫︎ハーバード大のSTEM専攻の学位取得割合
成績上位3分の1:53.4%
中間3分の1:31.2%
下位3分の1:15.4%
このことからハーバードの上位に入る学生でもSTEM専攻の学位が取得できるのは53.4%で、中間の学生ではほぼ3分の1の学生、下位の学生ではわずか15.4パーセントの学生しか学位がとれません。ハーバード大の学生ですらこのSTEM専攻で学位を取ることが難しく、専攻換えを強いられるようです。この著書ではハーバード大のようなアイビーリーグではないハートウィック大学の結果との比較があり、その割合は次のようになっています。
成績上位3分の1:55.0%
中間3分の1:27.1%
下位3分の1:17.8%
ハートウィック大のSTEM専攻の学位取得割合はハーバードと類似しています。
ハーバード大でも勉強についていけなくなる学生がいるのですねぇ。でも、もしハーバードで下位のグループの学生がハートウィック大に行っていれば、その大学の上位に属してSTEMの学位を取得する可能性が15.4%から 55.0%とずっと高くなるます。ハーバード大学で下位にいる学生は、自分の同級生と比較してしまうので劣ってしまっていると感じてSTEMでの学位取得をあきらめてしまうのですが、万が一そのハーバード大の下位の学生が格下のハートウィック大学へ行った場合には、学内でトップクラスで伸び伸びと勉強ができるものと思われます。
人は自分の周りの人と比較する
このことから超一流の学校へ行った人は周りの人と比べてしまうので、優秀な人と比べ自分が劣っていると感じてしまうのです。逆に自分の学友より自分が優れていると感じると、STEMの専攻をやめてしまう確率は各段に下がります。
箱根駅伝で優勝を狙うような学校には、高校から各校のエースが集まりますが、すべてが正選手になるわけではありません。中には補欠になったり、自信をなくして脱落する人もいるでしょう。
“Little fish in a big pond. Big fish in a small pond.” なる言葉があります。大きな組織に入って「その他大勢」で終わるか、小さな組織で実力を発揮するか?そんなことを駅伝を見ながら思いめぐらせるのです。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.166
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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