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コラム とどけMahalo! アメリカ本土便り

ウイスコンシンで独り言 運動のすすめ

 最近ではジョギングやウォーキングなど、「体を動かす」ことが健康に大切であることが一般的になりましたが、一体いつから言われるようになったのでしょうか? ある健康に関する本で興味深い箇所を見つけたので、今日はその話をしたいと思います。

バスの車掌さんという職業 

 昔バスに乗ると、「車掌さん」という人がいました。乗客が行先を告げて、料金を払うと切符を切ってくれる仕事です。日本では昭和40年代初頭(1960年代半ば)までは見られましたが、やがてそうした人が徐々に消えていき、ワンマンバスが主流になっていきました。ロンドンの2階建てバスでの車掌さんは2階へ上がったり、1階へ降りたり大変体力を消耗します。それを目のあたりにしたジェレミー・モリスという学者が、1950年前後にこの車掌とバスの運転手の健康がその後どうなったかを調べました。そしてその結果は忙しく働いた車掌は引退後も元気だったのに、現役中はずっと座ったままだったバス運転手に心臓病を患う人が多かったことから、「運動」が心臓に与える影響を世に発表しました。

とにかく健康のため動こう

 また、モリス博士はイギリスの郵便配達員と郵便局内で働く人や電話交換手などとの比較も研究し、屋外で徒歩、自転車に乗る活動的な配達員の生活が、屋内の仕事で運動量の少ない人達より心臓にはいいことを証明しました。このモリス博士の研究発表をきっかけに、我々は運動が健康のために大切なことを知ったわけです。しかし、すぐにはこうした「運動が健康にいい」という考えは浸透しなかったようですが、1960年代にアメリカでは、ケネディー大統領が国民に「歩け歩け運動」を推奨しました。日本もその影響受けたのか、こうした運動が次第に浸透したようです。

 私達が今日体を動かすことの大切なことを知っているのは、このモリス博士の研究発表から発していると言えます。モリス博士はこうした研究する以前の少年時代から父親から運動することを奨励され、父親とよく4マイルの散歩にでかけ、散歩を終えるとアイスクリームのご褒美があったといいます。そんな経験からロンドンの2階建てバスの車掌が運転手より健康で長生きするのではと見当をつけたのでしょうか? 

モリス博士の晩年

 モリス博士は一生を通じて体を動かすことの重要性を説き、ご本人も90歳半ばまで少なくとも1日に30分は泳いだり、自転車か歩行での運動を欠かさなかったそうです。そして100歳を一歩手前となった99歳半で天寿を全うされました。だからというわけではないですが、私は最近ジムの会員になり、いろいろ機械を使って筋肉が衰えないように頑張っています。それからほぼ毎日、戸外へ出かけて、今はすこしづつ葉の色が変わって行く様子を観察しながら散歩をしています。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.138

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

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