ハワイに住む皆さんは何か運命的なものがあって今の状態があるのでしょうか?人は誰しも、ある人に出会っていなければとか、ある仕事についていなければ、今の自分はないと、言えることがあるかもしれません。結構いろんな要素が複雑に絡み合って今の状態があると思われます。
モーガン・ハウセルの「お金の心理学」(the Psychology of Money)を読んでいたら、マイクロソフト社の創設者ビル・ゲイツが、もしもう少し早く生まれていたら、今日のビル・ゲイツはありえなかったであろうと語っていることが書かれています。ビル・ゲイツはシアトル出身ですが、もしシアトルでなく他の都市で生まれ育っていたとしたら、彼の人生はコンピュータとは無縁の人生を送っていたかもしれません。
ビル・ゲイツが高校に入学する頃、コンピュータなるものが出始めました。そういう意味でも生まれた時が良かったと言えます。でも、その頃はまだまだアメリカでもコンピュータは普及されていませんでしたが、彼の通う私立校(レークサイド校)には、この珍しいコンピュータなるものがあり、そのコンピュータを時間を決めて利用することができました。ですから、もしビル・ゲイツがシアトル以外の都市で生まれていたとしたら、もしシアトルであっても、このお金持ちの子弟が通うレークサイド校へ通っていなければ、コンピュータと出会うことはなかったのです。そして、この学校で、彼と同じようにコンピュータのプログラミングが得意なケント・エバンスという気の合う友人と出会い、四六時中コンピュータのプログラミングの話をし、将来は会社設立などを考えていたようです。
友人の悲劇
こうして、ビル・ゲイツとケント・エバンスは大の親友になり、やがては同じ大学を目指し、同じようにコンピュータの世界へ飛び込んでいくはずでした。しかし、不幸にもこの親友は登山事故で亡くなってしまいます。こうした登山事故で死亡する確率は、何百万分の一回あるかどうかの低い確率ですが、そんな不幸な事故に遭ってしまいました。もし事故がなければ、このケント・エバンスは、ビル・ゲイツと同様な成功者としてよく耳にしていたかもしれません。これも運命だと言えるのでしょうか?
偶然の産物
この話から人は生まれた年(時代)や場所、出会った人の影響で、自分の人生が変わって行くのだと思うのです。私自身もしもう少し早く生まれていたら、違った人生を過ごしたということも考えられます。また生まれた所や通った学校や、そこで出会った人達でも自分の人生はかわったのではと思います。
この世には不思議な力が働いていて、その力を運と呼んだり、運命などと言ったりします。あなたがハワイにいるのは偶然の結果でしょうか?それとも何かの力が働いていた必然なのでしょうか?もしハワイへ来てなかったら、もしもう少し早く生まれていたら・・・などといろいろ考えると、いつまでも空想の世界からぬけだせそうもありません。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.163
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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