日刊サンWEB|ニュース・求人・不動産・美容・健康・教育まで、ハワイで役立つ最新情報がいつでも読めます

ハワイに住む人の情報源といえば日刊サン。ハワイで暮らす方に役立つ情報が満載の情報サイト。ニュース、求人・仕事探し、住まい、子どもの教育、毎日の行事・イベント、美容・健康、車、終活のことまで幅広く網羅しています。

デジタル版・新聞

コラム とどけMahalo! アメリカ本土便り

ウイスコンシンで独り言 異文化での医療

 日本人が日本人でないお医者さんにかかるってどんな感じでしょうか? また、その逆もありますね。日本に住む外国人が日本のお医者さんに診てもらう場合です。健康な場合にはあまり気づかないかもしれませんが、異国で日本人以外のお医者さんにかかり、戸惑いを感じることがあるかもしれません。

 私は最近、日本に住むアメリカ人の闘病記(Laurel KamadaTransformed in a stroke」)を読みました。著者のローレルさんはアメリカで脳梗塞にかかり、昏睡状態のあと目が覚めて、その後アメリカでリハビリをして、苦労して再び日本へ帰国する話でした。手短に感想を述べてみたいと思います。

 

アメリカの食べ物

 ローレルさんは東北大学の英語教授で、日本人と結婚され、日本の生活は長いです。それで日本食に慣れたのか、アメリカの病院食の量が多いと感じ、しかも脂っこく味も濃いためあまり食べられません。デザートまで食べきれないでいると、担当の看護師から心配され、担当医からは何と「極度のうつ病で食欲が減退」と診断されてしまいました。実は、ご本人は日本にいる時から小食で、アメリカの食事は苦手になっていただけでした。

 

処方箋

 ローレルさんは日本で高血圧での処方箋などを投与されていましたが、アメリカの担当医は日本からの処方箋はすべて廃棄して、自分が処方する薬に変更しました。逆に日本に帰国すると今度は日本の医者がアメリカの処方箋をすべて日本の薬に変更されたので、ご本人はもう少し日米の医療関係者の情報交換が必要だと感じたそうです。これは私達も帰国したり、逆にアメリカに戻ったりした時に起こりうることで他人事ではありません。

 

柔軟性のあるアメリカとない日本

 ローレルさんは不幸にもアメリカで脳梗塞で意識不明となり、数週間の昏睡状態の後、意識を回復しましたが、半身不随となっていました。それからは何とか自分でできることは自分でとリハビリにかかりますが、その時に日米の医療の違いに気づき、それぞれの良い点を取り入れてほしいとその本に書いています。

 そのひとつがお医者さんの患者への対応です。日本の医者は週末の外出や病院食以外のものへの「柔軟性」がないと指摘しています。アメリカの医者はその点でいくらか柔軟で、家族との外食とか持ち込みの食べ物を許していたそうです。

 

日本人職員の職業意識

 またこの本では日本の看護師さんがとても献身的で、優しいのではあるけれど、入浴の際に胸の大きさなどの体の特徴を指摘したり、用もないのに病院長など男性職員が興味本位で病室に来るなどちょっとプロ意識に欠けると指摘しています。

 違った文化環境で医療を受ける場合には戸惑いや誤解が生じます。日本人はそんな時黙ってしまうのかもしれませんが、このローレルさんのように声を上げることも大切と感じました。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.132

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

シェアする

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
Twitter
Visit Us
Instagram