最近ではアメリカだけでなく、日本のどこに行ってもスターバックスを見かけます。立地のいい広々とした店舗があちこちにあり、それほど好きでなくてもつい利用してしまいそうです。
今回日本へ帰り、宇治平等院を訪ねると何と平等院の入り口のすぐ隣に大きなスターバックスができていました。聞くところによると出雲大社の入り口付近にもあるそうで、全国の古式ゆかしき場とスターバックスとの対比に、すごく違和感を持つのは私くらいなのでしょうか? そんなわけでもないですが、普段私はなるべく個人経営のコーヒーショップを利用するようにしていますが、時には問題もありました。
畑の中にポツンとあった喫茶店
数年前、名古屋の郊外に滞在していたある小春日和に田園風景が続く静かな田舎の道を歩いていると、畑の中にポツンとたつ喫茶店を見つけました。その店は大きな通りに面しているわけではないし、その近辺には畑の他には何も見当たらない所にひっそりと建っていました。それで興味本位でその店に入ってみました。
お店に入るとすぐステージと大きなスクリーンが目に入ってきました。広々とした店内にあまりテーブルが置かれてなく、カラオケを楽しむお客がこのステージを行き来できるように通路が広くしてあります。コーヒーを飲むところというより、知り合い同士が和気あいあいと歌を歌い合うカラオケ喫茶でした。コーヒー自体はおいしかったのですが、音楽も流れておらず、静まり返ったこの店でコーヒーを飲み終えると、早々に立ち去りました。
あるコーヒーショップ
3年前日本に帰国した際に住宅地にひっそりと建つ喫茶店を見つけ、今回帰国の際にも行ってみました。その店は洋風のつくりでテーブルがゆったりと配置され、しゃれた家具で雰囲気がありました。おまけに南米の民芸品で店内が飾られていて、南米各地を訪ねたことのある妻には見覚えのある品々が飾られていました。お店の人にはそうした地に思い入れがあるのかと、店主とちょっとでも言葉を交わしたいと思いました。それで「ご自分で集められたのですか?」と聞くと「ええ」と一言だけの素っ気ない返事。「妻はブラジルで同じ人形を買いました」って言っても、「あー、そうですか」で会話が途切れてしまいました。日曜日の午後で他に客もなく、商売にも気が入ってなかったのでしょうか? 私達がわざわざその店を探してまで来たことを、お店の人にはわからなくても仕方がないですが。
アメリカだけでなく、日本などでも大手の店舗が増えていくのは時代の流れでしょう。でもどこへ行っても大手チェーン店しかないようにはなってほしくないので、変わり者といわれようが、余計なお世話だろうが、私は個人経営のお店の応援をしていきたいです。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.157
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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