沖縄県では、鳴き声以外はすべて食べるとまで言われる食材の豚。那覇のお土産市場では豚の顔まるごとの“チラガー”も真空パックで売られているのだが、特に耳を茹でた“ミミガー”が好きだ。コリコリとした食感が堪らず酢味噌につけて食べるとより美味しい。
独立記念日のフェスティバル最中。その日警官のマーヴは非番だったが、たまたまスリの現場に居合わせたため犯人を追いかけ下水道に降りると、突如豚のマスクを被った何者かに襲われ意識を失ってしまう。目覚めたときには拘束されており、“Make your choice.”という録音メッセージと共に地下鉄に轢かれるか、自らの体の一部を失うかの二択を迫られる。
翌日、正義感の強さや単独行動に走りがちなことで仲間から煙たがられている刑事ジークは、ガルザ署長から相棒として新人シェンクをあてがわれコンビとして最初の殺人事件現場に到着するが、その遺体はなんと同僚の警官マーヴだった。
リブート版の名目通り、これまでのゴア描写ありきの作風とは趣が全く異なる。正直、SAWは体力を削られるような痛々しさ―脱出のため大量の注射器の上を這いずる、或いは生き残るためにノコギリで自身の足を切断しなくてはいけないといった生々しさが苦手だったが、本作はサスペンスとコメディ要素がバランスよく合わさり、大衆向けに格が上がった印象を受けた。どこかで一度は耳にしたことがあるだろう緊迫感溢れるBGM、アイコン的存在の豚などは受け継ぎつつ、主役でコメディ俳優のクリス・ロックの早口お喋りがさすがの面白さ!最後までハラハラしつつも疲労困憊せずに観られ、従来のSAWよりも断然おすすめ。旧作ファンにとって今回の真新しさは賛否別れるかもしれないが、この路線でもっとストーリーを膨らませた続編を期待したい。
劇中で犯人が被っている豚のマスク、筆者には美味しそうなチラガーに見えてしまってあまり恐怖感が湧かない、という特殊な事情はさておき…。
●加西 来夏 (かさい らいか)
映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/沖縄では伝統的なピージャー(ヤギ)料理も食べてみたい!と老舗店に行ったら「明後日まで予約でいっぱいよー!」と断られ食べそびれました。
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