小笠原諸島はこれまで大陸と繋がったことがなく、だからこそガラパゴス諸島同様に独自の進化を遂げた固有種がおり、世界自然遺産になった決め手だそう。特に南島にいたカタマイマイというカタツムリは絶滅の危機にあり希少らしい。
父島では黄色く可愛らしいメジロやカツオドリ、南島ではふわふわのオナガミズナギドリの雛など鳥類が多々見られ、宿泊した“シャンティバンガロー”も動物だらけ。港から離れたジャングルにあるため、窓を開ければオガサワラヤモリの裏面とコンニチワ、部屋の中からも独特の「ケケケケッ」と鳴き声が響き、どうか天井から落ちてきませんようにと祈った。他にも寝る際はクマネズミが網戸を食い破るから締めてね、とオーナーに教えて貰ったり、宿の周りを運転すると狭い道路に無数のオオヒキガエルが―しかしこれも自然の醍醐味…。
また、ダイビングではボート周りに興味津々とハシナガイルカの群れが寄ってきてジャンプや華麗なスピンを見せてくれた上、宮之浜というシュノーケルスポットでは海底の岩陰で休んでいたシャープな形のサメ、ネブリブカを発見。サメ好きなので家庭でも飼育できるネコザメやブラックチップシャークにも憧れるが、やはり自由に海を泳いで欲しいし維持費もかかる。生で見るのが一番だ。
島では牛や豚の替わりのタンパク源として古くからアオウミガメを食す文化がある。保護は大事だが増えすぎても生態系が崩れる可能性もあり、年間で捕獲していい数や時期が決められている。煮込みやチャーシューもあるそうで、今回は刺身で頂いた。見た目も食感も馬刺しの赤身に似て全くクセがなく美味しかった。ちなみに島ではラム酒が製造されており好奇心でストレートで飲んでみると、感想は「泡盛…?」。こちらは結構クセが強かったので、オンザロックか島レモンを絞ると良いかも知れない。
せっかくの父島の魅力を伝えきれていないのは重々承知だ。3泊4日では物足りない!出来るなら2週間くらいはのんびり滞在したいと思った。
●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問国は39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/日本は猛烈な台風の真っ只中。この時期は旅行の予定を入れないと決めています。
(日刊サン 2022.9.23)