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主婦ソサエティーオブハワイ エリザベス女王を偲び 公邸でアフタヌーンティー

 NPO主婦ソサエティーオブハワイは、日本とハワイの多彩な文化の催しと地域社会への貢献活動を続けている団体だ。コロナ禍でも感染対策をしながら、ホノルル市の環境保護のため、ワイキキにゴールドツリーを植樹したり、えひめ丸慰霊碑の清掃などを続けている。101日には「乳ガン早期発見啓発セミナー」も開講予定だ(詳細は下記)。

 914日には文化活動の一環で、「英国式アフタヌーンティー」が在ホノルル日本国総領事公邸で開催された。会長の有川啓子さんに聞いた。

「主婦ソサエティーでは、文化や学びのクラスと愛好会を開き、楽しく続けております。生花、茶道、書道、麻雀、陶芸、スマホのクラスなどがあるのですが、アフタヌーンティーを学びながら楽しむ紅茶教室も好評で、大勢の方が参加してくださいました。今年はエリザベス女王在位70周年の年ということもあり、英国王室ゆかりの紅茶をいただく、イギリス式アフタヌーンティーの会を企画いたしました。青木豊日本国総領事の高子夫人は、主婦ソサエティーの名誉会長で、ご夫妻のご厚意で総領事館公邸で開催させていただくことができました」。

エリザベス女王ゆかりの紅茶

 ところが直前の8日、エリザベス女王陛下が急逝された。

「突然の訃報に驚き悲しみました。それで急遽、エリザベス女王のご冥福とご家族の平安を祈り、女王を偲ぶ会とさせていただきました。偶然なんですが、エリザベス女王が毎年催されるアフタヌーンティーでお出しになる紅茶を味わおうと、イギリスから取り寄せておりましたので、青木総領事ご夫妻やご参加の皆さんで感謝していただきました」

 エリザベス女王は毎年、バッキンガム宮殿か、スコットランドのホリールードハウス宮殿で年に数回開催するガーデンパーティーに、総計3万人以上の一般ゲストを招いてきた。バッキンガム宮殿によると、1回のパーティーで、2万切れのケーキと27000杯の紅茶が振る舞われるのだとか。その紅茶の一つが、「バッキンガムパレス ガーデンパーティーミックス」。エリザベス女王がお好きなアールグレイをベースに、コーンフラワーやジャスミンをブレンドした芳しい紅茶だ。

アフタヌーンティーの楽しみ方

 今回、美味しい紅茶の淹れ方や、アフタヌーンティーのマナーなどを教えてくれた、紅茶インストラクターの江口スーさん、アシスタントの政光訓江さんによると、

「一人分の紅茶にはティーリーフ3g、ティースプーン1杯が目安です。沸騰したお湯は水道水が浄水されたものだと、空気を含んでいるので美味しく色あざやかに淹れることができます。今回はエリザベス女王のお茶とともに、日本産の緑茶をベースにした和紅茶も用意し、飲み比べていただきます」

江口スー氏、政光訓江氏のレクチャーで紅茶を淹れて楽しんだ

「アフタヌーンティーの3段トレイには、下段サンドイッチ、中段スコーン、上段ケーキなどのスイーツを乗せ、下段から食べ、中段、上段と紅茶とともにゆったり味わいます」

 サンドイッチやスコーン、スイーツを用意してくれたのは、ダウンタウンにある紅茶周りのセレクトショップ「Tea At 1024」。店ではアフタヌーンティーを楽しむこともできる。

                          骨董コレクターの武田健成氏より説明を受ける青木豊総領事と高子夫人、有川啓子会長

お茶を彩る博物館クラスの骨董

 隣接した部屋には、お茶の時間を彩るアンティーク食器がずらりと展示されていた。アーティストで骨董コレクターの武田健成氏が紹介してくれた。

「日本における洋食器の歴史は1600年代くらいに遡ります。有田にいた朝鮮の陶工が白い磁器に欠かせない陶石を発見したのが一つの契機です。江戸末期のパリ万博には有田焼が大量に出品されて成功し、明治6年のウィーン万博でも金賞を受賞するなど、ヨーロッパでは高い評価を得ていました」

 ただその頃の作品は装飾用の壺などのファンシーウェアで、食事に使う大皿やボウル、ティーカップやポットの開発には時間を要した。

帽子とアフタヌーンドレスで集う方々も

「明治9年にノリタケがニューヨーク六番街に販売拠点を置き、陶磁器や漆器、屏風などの貿易を始めました。洋食器の研究にも力を入れ、白素地で硬質の磁器を開発。大正2年にようやくディナーセットを完成し、『ニッポンポーセリン』として、アメリカやヨーロッパに多く輸出されるようになりました」

 向上心があり手先の器用な日本のハンドペイントは高く評価され、食器の裏には「Hand Paint Nippon」 と記されていたという。

「戦時中アメリカでは、敵国日本製の食器と分かると壊されるかも知れなかった。愛好家は裏書をていねいに消して持ち続けてくれた。僕は裏書のない物は基本買わないのですが、戦争を超えて残ったニッポンポーセリンはあえてコレクションしています」

 武田氏は陶磁器だけでなく、アンティークのシルバーウエアやクリスタル、チャイナとともに、目的や用途に合わせたデコレーションをして、参加者の目とイマジネーションを楽しませてくれた。

「日本の洋食器の幕開けの江戸末期、ハワイではクイーンエマがイギリスに渡り、ヴィクトリア女王と親交を深めています。日本、イギリス、ハワイは繋がっているんですね」

青木総領事「ハワイと日系人の歴史」

 武田氏のコレクションに対する審美眼や、江口さん政光さんらのすぐに役に立つ実用的な紅茶レクチャーを讃えた青木総領事は、

「帽子をかぶりドレスアップをしてお越しいただけて、今日の公邸はとってもおしゃれです。エリザベス女王陛下も美しい笑顔と素敵なおしゃれで、我々を楽しい気持ちにしてくださいました。私はハワイに赴任しましてハワイと日系人の歴史を学んできましたが、元年者の移民から戦争をはさみ150年以上経ちました。ハワイの人口における日系人の割合のカウントも、34世となりますと母国のミックスが進み、どうカウントするのが合理的なんでしょうか。ミックスすると、ハーフとかクォーターとか言いますが、私はダブルとかクアドロプルと呼びたいような気もいたします(笑)」

 ハワイに住む日本人として、折に触れハワイと日系人の歴史を伝えていきたいと、コンパクトながら臨場感ある歴史を語ってくれた。

 期せずしてエリザベス女王を偲ぶ会となったが、紅茶の楽しみ方、食器の鑑賞、総領事のスピーチなど、盛りだくさんで内容の濃いアフタヌーンティーのひと時となった。

                                    (取材・文 奧山夏実)

(日刊サン 2022.9.23)

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