「BIG BOSSと呼んで!」。日本ハムに新庄剛志選手が監督として帰って来て心底嬉しい。引退後、長年住んでいたバリ島でそう呼ばれていてお気に入りの呼称だそう。
滞在中はあらゆるエステに明け暮れた。ホットストーンマッサージ、薔薇やチョコレート風呂、そしてイヤーキャンドル…耳掃除をしてもらうのだがやたらと熱い。目を開けると、耳上で紙の筒が炎上しているではないか。パニックになるもあっという間に終了、スッキリはした。個人的には“シロダーラ”という、眉間に温かいオイルを少量垂らし続ける施術が忘れられない。もしや宇宙と繋がれるのでは?という瞑想状態に陥り、ある種神秘体験をしたのだ。しかしそれも束の間、寝落ちしたのが悔やまれる。
好きな邦画“アナザヘヴン(2000)”で流れていて印象に残った「チャッ、チャッ、チャッ!」と迫力ある男性の輪唱音楽が島独自の民族舞踊“ケチャダンス”だとわかり、長い時を経て本場で聴けた―崖の上、夕陽の沈む海をバックにしたウルワツ寺院でよりテンションが上がり、自然と体がリズムを取ってしまうような、まさに血肉の踊る感覚を味わった。
ヒンドゥー教の儀式で使用される楽器ガムランの音色を再現したボール、バリで育つ植物アタを編み込んだバッグを買い、さらに象に乗るいわゆる定番観光コースを終え、最後は山の中、ウブドにある“ライステラス”を一望するカフェで旅を締めた。実はバチェロレッテパーティーよろしく、親友の独身最後の自由な旅を楽しむ名目だったため存分に女子会を堪能。以前繁華街のクタでテロがあり安全第一でヌサドゥア地区を選んだところ、送迎車のトランクを開閉され車体下まで爆発物チェックを行われて驚くと同時に、セキュリティの抜群さにホッとしたのでおすすめ。
BIG BOSSが気に入って住んでいたバリ島は、不思議で惹かれるものが多かった。2006年の日本シリーズ以来あまり日本野球を観ていなかったが、今年はぜひ日ハム戦に行きたい。
●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問国は39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/アタバッグは、浴衣を着る際に籠バッグとして未だに重宝しており実用性抜群です。
(日刊サン 2022.1.28)