東京の街も吹く風が冷たくなり、すっかり秋の気配です。新型コロナウィルスの都内の感染者数は相変わらず1日200人前後で推移していますが、私の職場では出勤日も増え、外回りも少しずつ再開されています。取引先企業の新製品の発表会も、オンラインと実際の会見と同時進行の「ハイブリット」で開かれるのが主流となり、「ニューノーマル」の始まりを日々実感しています。
原宿駅前に誕生した新名所
久しぶりに都心を歩くと、少し「浦島太郎状態」だったのにも驚きます。コロナ禍で4月~7月半ばまで完全な「STAY HOME」が続いていましたが、原宿駅前には「ウィズ原宿」という再開発ビルが6月5日にオープンしていました。東京周辺では横浜や立川にしかなかった郊外の大型家具店IKEAが、23区内では初めて「IKEA原宿」として出店しました。中を少しのぞいてみましたが、リーズナブルなタオルやキッチン用品が手軽に購入できて便利そう。家具類は約1000点が展示されていましたが、配送システムが完備されており、郊外型の巨大店舗とは対照的な「ショールーム」型のお店という位置づけ。IKEAでのショッピングの合間のお楽しみ、スウェーデン料理のカフェも併設されており、トルティーヤに似たスウェーデン伝統サンドの「ツンブロード」が新メニューとして登場していました。
ユニクロの原宿店も復活
同じく「ウィズ原宿」の地下1階~1階には「ユニクロ原宿店」がオープン。ユニクロは8年ぶりの原宿再進出で、若者文化の発祥地・原宿を意識してか、1階にはポップなTシャツが並ぶなど、他のユニクロにはない実験的店舗とのこと。
さらにユニクロは、銀座にも日本最大級の大型旗艦店「UNIQLO TOKYO」を6月19日にオープン。ここは元プランタン銀座だったビルを大改装したもので、佐藤可士和をアートディレクターに迎え、1階~4階が売り場となる斬新な店舗が誕生しました。
銀座にはユニクロ・トーキョー誕生
改装前のこのユニクロは、女性製品に特化した店舗で実は私もよく立ち寄るお店でした。仕事での外出が増えた8月末に前を通ると、全く違う店舗になっており仰天! モデルのようにおしゃれな外国人の店員さんにいつオープンしたか聞いてみると、「今年6月」との答え。5月末の非常事態宣言の解除後も銀座に全く近づいておらず、知らずにいた自分にも驚きました。
日本の「顔」である銀座に新たに誕生したユニクロは、入り口から大きく吹き抜けになっており他店にはない風格を感じます(銀座には中央通りにも、以前から店舗あり)。定番の冷感肌着の「エアリズム」やTシャツひとつとっても、地元の駅で売っている同商品より上等に見えるのが不思議。店先で花が売られていたり、試着室に写真が飾られ、ゆったり作られていたり、他の店舗とは全く異なるユニクロの「戦略店」としての存在が際立っています。日常の買い物がワンランク楽しくなる店舗でした。
五輪開催を信じて…
思えば新型コロナの蔓延がなければ、2020年の夏はオリンピック・パラリンピックが開催され、東京は数多くの外国人旅行客をお迎えしているはずでした。五輪会場のひとつの代々木体育館の玄関口となる原宿駅、日本を代表する街・銀座に最先端の店舗が誕生したのも、もちろん五輪を見越したことだったでしょう。
都内ではオリ・パラまで「あと何日」という看板をよく見かけます。来年7月22日に開幕が延期された五輪まであと「290日」ほど。先行きはいまだ不透明ですが、東京の街は呼吸を止めず、五輪の開催を静かに、静かに待っています。
東京・大手町発 マスコミ系働き女子のひとりごと Vol.27
(日刊サン 2020.10.08)
竹下聖(たけしたひじり)
東京生まれ。大学卒業後、東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。帰国後は2016年より、大手町のマスコミ系企業に勤務。趣味はヨガと銭湯巡り。夫と中学生の娘、トイプードルと都内在住。
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