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デジタル版・新聞

コラム マスコミ系働き女子のひとりごと

どうなる!? 東京五輪

川崎市内を走るJR南武線。「英国代表」のキャンプ地であることを機関車トーマスがPR

「えっ、もう来たの!」とテレビ画面に思わず突っ込みを入れてしまいました。7月23日に開幕予定の東京五輪を前に、オーストラリアの女子ソフトボール代表御一行が、選手団一番乗りで成田空港に到着。緑と黄色のジャージ姿の選手たちは空港内で新型コロナの抗原検査を受けた後、事前キャンプ地の群馬県太田市入りしたとニュースが伝えていました。

 

先陣切ったオーストラリア選手団

開幕まで50日以上も前の早めの入国は、季節が真逆の南半球の事情や練習相手を求めてのこととか。開催都市の東京に住む我々都民でも、1カ月少し先の五輪開幕が信じられない日々ですが、最高のパフォーマンスを目指して日本の地にやってきた女性選手たちの真剣な表情に、突っ込みを反省し、ただ胸を突かれた思いでした。

先陣を切って日本に到着したオーストラリアが注目を浴びましたが、ただその裏で実は105以上の自治体で、事前キャンプが中止となっているのです。

 

アメリカのキャンプ地は世田谷

私が住む世田谷区は、参加国中最大の選手団を送るアメリカのホストタウンとなっています。2015年に早々と覚書を交わし、区内中心にある緑豊な砧(きぬた)公園と隣接する温水プールや陸上競技場がその地に選ばれました。アメリカチームに選ばれた我が街、世田谷―。区民としては何とも誇らしい気分で、区はその後長期間にわたり、公園付近を使用禁止にして五輪に向けて整備。区内の小学生にも「HOST TOWN USA」と書かれた赤青白のアメリカ色のクリアファイルが配布され、現在中3になる娘は、小学生時代にもらったそれを今も大事に使うほど大切にしています。

 

 

メイン会場となる国立競技場の前に立つモニュメント。東京都民は今も半信半疑のまま…、落ち着かない日々を過ごしています

ホストタウンに届く悲報

アメリカの事前キャンプは7月4日以降に始まる予定で、現在のところ中止の発表はありません。ただアメリカ国務省は日本を渡航中止にしており、今後どうなるのか…。

北九州市で予定されていたタイの卓球やテコンドー、新潟市のロシアの新体操、下関市のトルコの柔道など続々とキャンプ中止は決まっています。その8割以上はコロナの感染蔓延を理由に相手国からの申し入れです。日本の感染者が一向に減らず、ワクチン接種もようやく70歳以上がスタートしたばかり。こんな状況では無理もありません。

日本国内でも、五輪開催を疑問視する声は上がります。海外からの選手団や報道関係者の入国でさらにコロナが蔓延するのでは…、インド型の新株が日本に流入し取りかえしのつかないパンデミックになるのでは…。専門家の意見や一般市民の声が飛び交い、現在も開催が不透明な状態が続きます。

 

フワフワの都民の心

本来なら、ワクワクと心を躍らせながら五輪開催を待っていた時期。世田谷区を含め、日本全国の自治体も世界各国からの選手団の受け入れを何年も前から準備し、そのために大変な労力も費やしてきました。その準備が相手国からメール1本でキャンセルされるとは、何ともやり切れない気持ちになります。

五輪まで50日を切った今、どうなるのか…。五輪はあるのか、ないのか…。フワフワとした状態を漂いながら、我々はその決定を待つしかありません。

東京・大手町発 マスコミ系働き女子のひとりごと Vol.35

(日刊サン 2021.6.11)

竹下聖(たけしたひじり)

東京生まれ。大学卒業後、東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。帰国後は2016年より、大手町のマスコミ系企業に勤務。趣味はヨガと銭湯巡り。夫と中学生の娘、トイプードルと都内在住。

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