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コラム マスコミ系働き女子のひとりごと

新学期が始まりました

蒸籠で蒸した中華まん。お弁当の呪縛がとけるきっかけになりました

日本は新学期、新年度が始まりはや一カ月が過ぎました。新元号「令和」がスタートし、即位を祝う10日間の大型連休でハワイに滞在したのが2年前の5月。このハワイへの〝里帰り〟の際に今連載を誘って頂き、おかげ様で3年目に入りました。この2年間で世界は思いもよらない変化をしましたが、これからも前向きに日本の今をお届けしたいと思います。

 

お弁当の呪縛… 

当時、中学校に入学したばかりで初々しかった我が娘も3年生。日本では私立中学は給食がなく、入学以来週に6日、私か主人が作ったお弁当を持たせていますが、先日娘が何気なくつぶやいた一言に「はッ」となりました。それはおやつに家で中華まんを食べていた時のこと。「クラスのRはお弁当が中華まん2個とフルーツの時があるよ」。

横浜の中華街入り口。海外旅行が難しい今、異文化を求めて足を運びたくなります

日本の中の異文化クラス

小学校2年生の終わりまでハワイで過ごした娘は、海外経験や英語の成績で入学が許可される「グローバルクラス」に所属しています。当然、帰国生や国際結婚など海外にルーツを持つご家庭も多いのですが、クラスのムードメーカー的な明るいRちゃんは両親が中国人。中華まんを昼休みに学校の電子レンジで温めて食べているそうで、みな「美味しそう」とうらやましがっているというのです。

アニメのイラストのように綺麗に盛り付けた「キャラ弁」が世界でも人気のように、日本人のお弁当には、その律儀で真面目な国民性が詰まっています。私も毎日のお弁当作りが大変なプレッシャーだったのですが、「そうか、中華まん2個でもいいんだ…」と、娘の一言にこの2年間の呪縛が一気に解けたような気がしました。

思えば娘が5歳でハワイのプレスクールに入園したとき、最初に付き添った遠足で子どもたちが持参したランチボックスが実にユニークなことが新鮮でした。ジップロックに入ったサンドイッチの子もいれば、中国系の子はチャーハンと、ビニール袋に入ったブドウ。芝生の上でお弁当を広げた時間、その小さな箱の中に、多文化の世界がキラキラと詰まっているように感じました。

日本に帰国後は、几帳面な社会で、「みんなと同じでなければ」とお弁当一つにも知らず知らずに同調圧力を受けていたのかもしれません。様々な文化を知る娘のクラスメートは、手の込んだ綺麗なお弁当のみを「よし」とする価値観でなく、もっと自由な大きな発想で世界を生きているようでした。

 

今を生きる子どものサポートを

行動範囲が狭められた生活で、娘の中学では昨年予定されていた新潟への研修旅行が中止。今年5月には広島への修学旅行もキャンセルされ、その代案だった八景島への日帰り遠足も、緊急事態宣言の延長で中止になってしまいました。

海外への短期留学も「ウリ」の学校で、通常ならカナダやニュージーランドの学校にも行くのですが、今年度は中止のお知らせが学校より届いています。

海外旅行の自粛が続き、外国との交流も少ない毎日ですが、日々のお友達や外国語の勉強のなかで、10代の多感な時期は学ぶことが多いはず。今の時代を生きるどの国の親も思うことかもしれませんが、大変な世界を生きているこどもたちを、少しでもサポートできたらと願う日々です。

東京・大手町発 マスコミ系働き女子のひとりごと Vol.34

(日刊サン 2021.5.14)

竹下聖(たけしたひじり)

東京生まれ。大学卒業後、東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。帰国後は2016年より、大手町のマスコミ系企業に勤務。趣味はヨガと銭湯巡り。夫と中学生の娘、トイプードルと都内在住。

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