対人トレーニングができるアプリ
ビジネスでは、営業に限らず、一般に人との「直対面」やテレワークでの「画面を通しての対話」では、表情やトーク内容が重要です。互いの信頼を築いたり、商談の成否が決まったりするからです。従って、どこの企業でも社員の営業力のトレーニングに力を入れて来ました。
この分野にAI技術、ディープラーニングを取り入れようという動きがあります。大量の対話時の表情データを収集・蓄積し、これらから、7種類の感情「喜び、怒り、恐怖、驚き、嫌悪、軽蔑、悲しみ」の感情分析と認識ができるようにしました。そして、スマートフォンのカメラ画面を通して、4種類の表情「笑顔、真剣、好感度、お詫び」の練習ができるようなアプリケーションを開発したのです。
このアプリは、印象の良い表情を身に付け、緊張しがちな商談前や日々の業務でも、対面会話やテレワークの画面会話も、自信を持って行えるようになるトレーニングの支援ツールです。
アプリは、まず「表情練習モード」から始り、「表情採点モード」に続き、そして、話す内容の採点もできる「スピーチ採点モード」と継続していきます。
トレーニング教材に従ってスマホ画面と話をすると、表情が直ぐに分析されます。そして、表情の採点と練習中の動画やより良い表情作りへのポイントが分析レポートで示されます。また、トレーニング練習中に発話した内容が、自動でテキスト変換され、話す速度や頻出する単語などから、客観的なスピーチ採点がなされます。人の表情から感情を推定する技術である「感情認識AI技術」を応用し、「伝えたい感情→望ましい表情」という展開を進めるものです。
このシステムは、東京のCACというIT会社が、明治安田生命と共同で開発しているのです。ほぼ開発は終え、順次32000人の営業職に配布していく予定と聞いています。トレーニング教材が重要な働きをするので、とちらかと言えばカスタムメード、オーダーメイドの高級アプリですが、CACでは個別の相談に乗ってくれるそうです。
No.277
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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