最近、スポーツの世界では、年齢・性別・運動神経などに関わらず、誰もが楽しめる新しいスポーツを次々と創作しています。パラリンピックの種目は言うまでもなく、高齢社会で従来のスポーツにはあまり携わってこなかった、いわゆる「スポーツ弱者」が多いのが日本の実情でした。しかし、足が遅くても良い、背が低くても良い、障がいがあっても大丈夫なスポーツがあれば、誰もが、勝ったら嬉しい、泣けても楽しい、仲間ができて嬉しい、などが味わえることになります。これが、「ゆるスポーツ」と言われる新しい動きなのです。
この運動は、2016年に発足した「世界ゆるスポーツ協会」が中心となり、ハイテク産業などが協力して、次々と新しい、誰でも楽しめるスポーツを創作し、全国的な体験環境づくりを進めると同時に、特に超高齢者や年少者に対し、スポーツ教育の啓発を推進しているのです。現在、110種を超える種類のスポーツが開発されています。
これまでに事業化したゲーム感覚のスポーツを挙げると、「ベビーバスケット」、「500歩サッカー」、「芋虫ラグビー」、「ブラックホール卓球」、「スペースサッカー」、「スポーツカルタ」、「トントン相撲」、「ハットラグビー」、「シーソー玉入れ」、「ゾンビサッカー」、「フライングエッグ」、「うち投げ花火」、「洗濯テニス」、「スピードリフティング」、「100cm走」、「くつ下玉入れ」、「点字ブロックリレー」、「オシリウスの塔」、「ピクトグラミー」などなど多数。
今回は、そんなゲーム感覚的な「ゆるスポーツ」のひとつ、「フェイスマッチ」を紹介します。これは、表示画面上で、上から落ちてくる「顔」と同じ表情をして、自分の顔を重ねて「顔」を消すという、対戦型のスポーツです。高度な、顔表情の推定認識技術が応用され、競技者の表情を瞬時に判断します。笑ったり、驚いたり、怒ったりしながら、縦横無尽に落ちてくる「顔」をどれだけ消せるかを競うものです。隣の人に負けないように、楽しく表情と身体を動かすかというものです。
ルールは、
①プレイヤーは2人。画面の前に並んで立ちます。
②上から落ちてくる「笑」、「驚」、「怒」の顔と同じ表情をします。
③自分の表情をアイコンに重ねると、顔が消えて、得点獲得です。
④ミスしないで連続でアイコンを消すと、コンボ得点を獲得できます。
⑤60秒でたくさん得点を挙げた方が勝ちです。
基本技術はパナソニック・コネクト社の顔認証技術と画像解析センシング技術で世界最先端のものです。実際の様子は、静止画では説明が難しいので、是非とも次のサイトを参照してください。
https://yurusports.com/sports/futurelab/facematch
他のゲームスポーツもほぼ、最先端技術を持つ会社とのコラボによって、開発されています。現在多くの介護施設などで、超高齢者などのリハビリを兼ねて、好評を得て広がっているようです。また、全国各地にゆるスポーツ協会の支部ができており、地域の特色を生かしたゲーム的スポーツや競技形式を普及させて行きつつあります。
ゆるスポーツオフィシャルPV
https://www.youtube.com/watch?v=Y-OHoWUHpv0
No.351
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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