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ちょっと役立つ 日本の新製品

コロナワクチンに、画期的な注射器

コロナワクチンに、画期的な注射器

 打つと言ったり、いや、打たないと議論の分かれている「コロナウイルス感染症ワクチン」ですが、ここハワイにも漸く、ワクチンが届き、接種が始まりました。来週くらいから、ファイザー、モデルナに続き、ジョンソン&ジョンソン製も揃い、どのワクチンにするか選択できるようになるとのことです。
 さて先頭を走るファイザー製ワクチンには色々な話題が出ました。なかでも日本で起きた問題というのが、まず、最初に予定した数量のワクチンが入荷しなくて大幅な接種開始の遅れが出たこと。続いて、超低温度(摂氏マイナス70度)での保存に失敗し、貴重な数量のワクチンを無駄にしたこと。そして圧巻は一瓶で6ショット分入っているのに、旧型注射器しか準備されず5ショット分しか採れなく、1ショット分無駄になること等々です。
日本政府のコロナに関する危機感と対策がいかにいい加減であったかが露呈してしまいました。
 さて、こんな事態に日本のテルモ社が、同じ容量のワクチン保存瓶から、なんと7ショット採れるという新しい注射器を開発したのです。そもそもの問題は、薬液を押し出す「推子(プランジャー)」を先端まで押しても、注射器の先端部分の隙間と針の内部に薬液が残るので、この分無駄になるのです。従って政府が予定した注射器ではワクチン1瓶当たり、1ショット分が捨てられることになるのです。勿論、注射器を使い回しにすれば捨てる分はそれだけ少なくなりますが、感染症に関しては厳禁です。

 6ショット可能な注射器は、図のローデッドスペース型のもので、インシュリン投与などには使われていたのですが、もともと利用分野が少ない上に、今や世界的で引っ張りだこで、品薄になっています。
 テルモ社は、皮下注射用と筋肉注射用のローデッドスペース型を基に、針の長さを短くしたのです。標準は25ミリですが、新製品は16ミリです。欧米人に比べて皮下脂肪が薄くて痩せ型が多い日本人の体形では、16ミリでも十分筋肉に届き、役に立つのだそうです。つまり、針を短くし注射器本体と一体化したことで、内部に残る薬液量が従来のローデッドスペース型の「15分の1」に減らせることで、ワクチンひと瓶あたりの同じ量の薬液から7ショット分を摂取できることになったのです。3月末から出荷し、2021年内に2000万本を生産し、国内でのワクチン接種に使われる予定です。
 政府の不手際を救う「大手柄」となりそうで、ファイザー社も「当社としてはひと瓶あたり6ショット分」という立場は変えていないですが、「7回接種できる性能なら否定はしない」と歓迎しています。

No.284

となりのおじさん

在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで

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