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デジタル版・新聞

コラム 来夏の映画観ようよ

日本のいちばん長い日(1967)

日本最北端へ行ってみたい、と北海道・稚内へ行った。快晴なら樺太―現在、実質ロシア領サハリンが見える宗谷岬があり、そして、街を一望出来る丘に『九人の乙女の像』という碑がある。太平洋戦争中にソ連が侵攻してきたため、止む無く自決した電話交換手の女性達を慰霊するものだ。しかし、事件についての説明文の日付は「昭和二十年(1945)、八月二十日」。日本は八月十五日に終戦していたのに、なぜ? 

 

ミッドウェー海戦を境に日本の戦況が悪化する中、同盟を結んでいたイタリア、ドイツが相次いで連合国に降伏。昭和二十年の七月二十六日に、イギリス、アメリカ、中国(後にソ連が加わる)から日本はポツダム宣言=無条件降伏を迫られる。

勝算が無いのは目に見えていたが、陸軍が本土決戦を大前提に考えていたため意見が割れ、その間に広島、長崎に原子爆弾が落とされてしまう。遂に八月十四日、ポツダム宣言を受諾、翌日には天皇陛下の御言葉で全国民へ終戦を伝えるラジオ放送が流れる予定だったが…。

 

そもそも終戦に至る詳細な経緯を知らないから観てみよう、と思った本作。

「あと二千万人、日本の男子の半数を特攻に出せば勝てます!」。いや、クレイジー!戦争は狂気というのはまさにこれか、と思わされた劇中の陸軍の発言だ。ただ、降伏に反対の彼らにも言い分があり、こんな終わり方では今までの戦闘で亡くなった三百万人に申し訳がない、と責任を感じているのだが、いかに戦時中の集団心理が怖いかが身に染みた。

また、白黒映像やナレーションが当時の「大本営発表」のようでリアリティが強く、実際に戦争を経験した年代の俳優陣の鬼気迫る演技はもちろん、まるであの日、あの場に居合わせたような錯覚に陥るほどの臨場感だった。

 

終戦記念日の八月十五日を前に、下手をすれば日本の歴史が変わっていたかも知れない危機一髪の大事件があったこと、そして、終戦を迎えてなお死ななければならなかった冒頭の九人の女性達の事も忘れてはならない、と心から思った。

加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問39ヵ国〜の旅する映画ラヴァー/無条件降伏から六日経過していたのにソ連が侵攻してきたのは、トルーマン大統領の「北海道を占領したらだめだよ」という警告をスターリンが無視したからだそうです。

 

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