美味しいマグロを求めて Part7
このシリーズで「マグロの目利き」について述べてきておりますが、割安でBESTチョイスのさしみ用のマグロとなると、やはりある程度の“マグロ目利きの技”が求められるし、またトロを狙うとなると高額にもなるので、ちょっとした失敗だけは避けたいものですね。
スーパーや魚屋さんのショーケースに並べられているのは、ダントツに“刺身用サク”が多いですし、すでに、刺し身に盛り付けをしたものや、また“切り落とし”と称して不定形の切り身のマ グロを上手にのせているもの、“中落ち”と言ってマグロの骨にあいだの身を掻いたものなどもあります。また、“ねぎトロ”としてマグロの脂身部分をペースト状にしたものや、マグロと他の魚と合わせた“刺身セット”などもあります。
これらは、すべてマグロを刺し身として生で食べていただくお客様を対象としているわけですので、読者の皆さんは新鮮であることは当然として、窓越し見えるお店のマグロ処理場、ショーケース、パッケージングなどの衛生管理についても多少の判断する知識も必要になりますね。
たとえばよくあるのが、値段の安さに気を取られて買ってしまってから、家へ帰ってラベルの表記をよくよく見ると「加熱用」と書かれたいたりして、がっかりすることさえあります。
ところで、ここに“ねぎトロ”のことをあげましたが、ねぎトロの“ねぎ”とは、野菜の“ネギ”ではないことはご存知ですか?
マグロの業者さんが、マグロを解体し切り落とした後に、骨と骨の間のある身(中落ち)や、まだ皮の裏に残っている身、筋の多い部分の身をそげ落としたりして作った(すき身)を使って作ったのが、本来のねぎトロの始まりです。わざわざマグロのトロの部分は使ってはいないのです。そして、“ねぎ”は、「身をねぎ取る」というのが語源なのです。建設用語に土を掘ることを“根切り”と言っていて、「そぎ取る」のイメージと合わせて“ねぎ”が使われ始まったようです。マグロのそげ落とした身や、掻き落とした身を叩いてペースト状にしたものが、ねぎトロと呼ばれているわけです。
野菜のネギとは関係ないと言っても、一般的にねぎトロのマグロ身に薬味としてねぎをのせたり、混ぜたりすることはあります。また、100%のマグロ身だけでないものがほとんどなのですね。マグロの端材やすり落とし身に、魚油や植物油、調味料を加え着色したものが結構ねぎトロとして出回っています。
本当に日本人が大好きなものは、作り方から名称まで、あの手この手で、売り手の業者さんは考えてくるものですね。