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世界のマグロを追いかけて男の旅 こぼれ話

マグロに合う“醤油”のお話し

 前回のコラムでご紹介させていただいた、”漬けマグロ”は試されてみましたか? マグロと醤油はとにかく相性が良く、刺身にはなくてはなりませんね。もちろんワサビ醤油で食べるのもよし、漬けにするのもよし、照り焼きにしても良しという具合です。

 大豆を原料とする醤油は、独特の「旨味」のグルタミン酸成分が含まれています。醤油は、日本が世界に誇る最高の調味料と言えるでしょう。醤油は、大豆と小麦、塩を原料として発酵、熟成させたものです。他にも代表的な発酵食品としては、味噌、納豆、塩辛、酢や酒、みりんなどがあります。これらは、日常の料理や食卓には欠かせないものですね。

 日本は四季があり、北国は凍てつく長い冬、関東から南では温度、湿度も高くなる夏の季節があります。こうした気候や環境をあえて利用して、その昔から日本独特の発酵食品が生まれてきました。そこには、長年の創意工夫と熟練技術と文化があり、次世代から次世代へと何代にも渡って伝授されてきました。

 こうして世界に誇る和食文化の根っこにある醤油や味噌などが、厳然たる日本食文化として生き続けてきたと思います。今日の世界では、醤油を始め多くの日本の発酵食品が受け入れられています。アメリカでもケチャップに代わって、たいへん醤油が重宝されていますね。

 

 日本の醤油の海外輸出は、江戸時代まで遡ります。当時、鎖国をしていた日本でしたが貿易窓口の長崎の出島から、オランダ船や中国船によって、主に中国や東南アジア、インド、スリランカに運ばれました。その一部がヨーロッパまで届き、極東の調味料として珍重されたそうです。その記録は、18世紀中期にフランスで発行された『百科全書』に「SOUI(しょうゆ)」というページがあり、醤油を肉汁などに加えることで非常に良い風味が生まれるこがと記されているようです。

 ハワイへは、明治時代以降になり、日本人移民の始まった頃からです。1868年にハワイの農園で働くため日本人が移民してきましたが、米、味噌、醤油の樽も船に積んだことが記録されているそうです。しかし当初の味噌、醤油は腐敗しやすく、輸入することが難しかったようです。

 実際に醤油が日本人の手に届くようになったのは1890年頃になってからで、日本品を輸入する商社が現地にできたてからです。1900年頃のホノルルには、浅田商店、千屋商店、岩上合名会社などあり、醤油を扱うようになっていました。当時扱われていた主な醤油の銘柄は、「亀甲萬(キッコーマン)」でしたが、1910年のホノルル領事報告によれば輸入される醤油は、亀甲萬と、「山サ(やまさ)」もあったようです。その後は、主にハワイや北米の在外日本人向けの醤油の輸出が続きました。

 今日、ハワイをはじめ全米の日本食料品店だけではなく、どこのスーパーや食料品店でも醤油は見かけることができますが、その始まりは多難を極めたのですね。

STORY 178

永井 修二

北海道出身、在米38年 鮪関連水産会社34年勤続

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