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世界のマグロを追いかけて男の旅 こぼれ話

免疫力と魚 PART1

免疫力と魚 PART1

 まだまだ気を緩めることのできない状態のコロナ禍の中、も う少し“免疫力と魚”について話を続けてみたいと思います。

 私たちの生活の周りには、“殺菌、除菌、抗菌用のグッズ”など が最近は溢れています。ウエットティッシュから始まり、除菌 シート、除菌スプレー、アルコール・ハンドジェルなどがドラッグストアで多く並べられています。あなたの手持ちのバッグの中にも、これらのいくつかは忍ばせてはいることでしょう。TVコマーシャルでも盛んに繰り返し宣伝をし、洗濯洗剤から洗濯機まで、 エアコン、空気清浄機や掃除機までと、「除菌、抗菌にも効果あり」と謳っています。

 たしかに、世界の中でも日本人は手洗いやうがいもよくする方で、家の中、学校・職場でも、町中も、他国と比べてよく掃除され清潔にしているようです。COVID-19が吹き荒れるの中、欧米に比べ日本国内での拡散が抑えられているとも言われています。こうした日常の生活習慣や、生活環境はとても大切なことですね。

 そして、日本人の食生活にも欧米に比べて、たくさんの魚を食 べる国民であることも注目されています。日本人が丈夫で長寿な理由は、たんぱく質源を主に魚から摂っているからと言われてきています。こうした食習慣や嗜好性が欧米からも評価され、 今や健康食としての日本食、そして特にお寿司は世界に一般化 してしまいました。

 

 しかし、その寿司食の元祖である日本人なのですが、近年は残 念なことに、“魚離れ”が進む一方なのです。生鮮魚介類の消費 量は下降の一途をたどり、2001年には、一人あたりの食用魚介類の消費量が40.2キロありましたが。それが2018年には23.9 キロまで減少していました。今日はさらに加速しているようで、 魚と反比例して肉類の消費量が増え続けています。

 肉と魚には、動物性脂肪が含まれていますが、肉の脂は血中コ レステロール増やす飽和脂肪酸です。魚の脂は逆に血中コレス トロールを減らす不飽和脂肪酸が含まれているのです。そして、 魚はEPA(エイコサペンタエン酸)という成分を含んでいるため、心臓病などの血液の病気のリスクを下げることもできます。

 

 除菌や抗菌への対策に神経を尖らせるのもわかりますが、免疫力の下降こそ注視すべきことであるでしょう。私のように、ア フリカ、南アジア、南米、カリブ海の国々を見てきた者にとっては、日本人の菌への過敏さに「ちょっと、行き過ぎかな~」と思ってしまいます。

 私の子どもの頃は、夕暮れ時までどろんこになり、鼻水を垂らして遊んでいたし、顔や膝にはかすり傷はいつもありました。米 の飯を食べ、味噌汁を頂き、魚や梅干し、漬物の一つや二つがいつも食卓に上りました。現代の“魚離れ”は黄信号かなと思われ ます。

STORY 165

永井 修二

北海道出身、在米38年 鮪関連水産会社34年勤続

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