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世界のマグロを追いかけて男の旅 こぼれ話

2020年の挑戦

2020年の挑戦

 7月半ばに入っても、まだまだCOVID-19が収束する気配を見せていません。日本では一旦静まったかに見えましたが、この7月半ばに入って東京を中心に日本全国の感染数が急増してしまいました。この急激な変化への対応に、政府も戸惑いを見せています。と言うのは、政府主導で7月22日から始まる予定だった 消費喚起策の「Go Toキャンペーン」があります。しかし、ここに来てブレーキをかけざるを得なくなりました。「Go Toキャンペーン」とは、一定の期間内に飲食店、ホテル、交通機関などへ割引やクーポン券の発行し、日本の各地域を活性化し、需要を喚起することです。しかし、今は地方自治体から人の移動によって逆に感染拡大を懸念する声が強くなっているのです。『収束に見通しがたってから実施すべきだ!』と、政府に進言しています。

 このような日本の一連の動向を見て来ている北米東海岸のマグロバイヤー達が、先駆けて独自でマグロ漁師達へ「通知」を出しました。すなわ、「マグロ漁をするにあたって市場状況を十分に踏まえてほしい」というもので、「コロナで日本市場も良くなく、マグロ漁日(水、金、土曜日)を守り、釣ったマグロの冷やし込み処理もきちんとやって欲しい!」と言っています。また、「“ヤマイ”(病いによる身質の悪化)や“ガリ”(痩せていて全く脂が乗っていない)のマグロは、持って来ても買わないよ!」とまでも言っています。

 特に、これからのマグロ漁のシーズンを迎える米国の東海岸の漁師たちにとって、最高値をもたらす魅力ある日本市場の冷え込みは、とても痛いものです。実際に、現地から空輸で成田空港まで飛ばすのですが、空輸便数も劇的な減少をしています。漁師たちにとって、アメリカ国内の市場に期待したいところでしょうけれど、国内も最悪状況が続いていて見通しは保証されていません。

 もちろん、今は日本全国にあってもマグロ漁の時期に入っています。北海道、青森、そして、日本海側の新潟、石川、鳥取、太平洋側の三陸、三重、和歌山でも盛んにマグロ漁が行われています。7月16日、17日には東京豊洲市場に、それぞれ210本、184本と天然本マグロが競り場に並びましたが、競り値は惨憺たるものでした。

 アメリカはロッド・リール(竿釣り)による釣り漁方法ですが、日本では定置網漁や巻き網漁が盛んで、サイズも20キロ台から混ぜて一挙に獲ってしまいますので、水揚げ処理もままならず、当然に品質も落ちたものが出てしまいます。  

 自粛期間が長く続くことで当然消費の萎縮が起こります。ハワイ、全米、そして日本の海に出る漁師たちに、そしてマグロ業者、卸市場、仲買い、末端の魚屋やスーパーまでも苦しい闘いがこの夏も続きそうです。特に外食産業は大打撃を受けており、経営までも息絶え絶えの状態です。こうした予見不可能でいるの世界中を巻き込んだCOVID-19によるパンデミックのダメージは計りしれないものです。

 2020年の私達は、以前の状態への回帰ではなく、これらからへの選択は、新たなビジョンとビジネスモデルを創って行かなければならないのでしょう。

STORY 150

永井 修二

北海道出身、在米38年 鮪関連水産会社34年勤続

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