宇宙船
赤や黄色の葉っぱが道をうめ尽くし、歩くたび、どれひとつと同じ色のない葉っぱをながめる楽しさがあるこの季節。そんな秋も、ここマンハッタンではもうすぐ終わろうとしている。頭上を見あげると樹々に覆い茂っていた葉っぱはすっかり地上に落ち、茶色く、丸裸にされたいくつもの細い枝が、次の季節へと巡っていることを思い出させてくれる。
寒さとともに、急激に感染者が増加の一途をたどるNYC。これから来る長くて暗く寒い冬を前に、いままでなんとか陽気をたもっていたニューヨーカーたちにも、疲れが隠しきれなくなってきている。
そんななか、気分が晴れるうれしいニュースが飛び込んで来た。新型宇宙船クルードラゴンが、野口聡一さんら4人を乗せて宇宙へと出発したのだ。
いまは、スマートフォン片手に世界のどこに居ようとも、瞬時にみたいものが観れてしまう便利な世の中。我が家は、ここ10年以上テレビをみない生活をおくっているが、スマートフォンのYouTube動画でNASAの生中継を見守る。
20秒を切り、カウントダウンがはじまると、胸のドキドキがよりいっそう速まるのを感じた。3,2,1!!! 爆音とともに、はげしく突き上げられる煙に包まれた宇宙船はまっすぐ天へ。10分もたたないうちに、宇宙の軌道にのり、時速27000キロという速さで壮大な宇宙へと姿を消した。
地球上ではごたごたと、様々な問題が次から次へと起きている。しかし、その間にも人が遥か彼方の宇宙へと向かっているという現実。こんなに大きなスケールを見せられると、じぶんのいま抱えている悩みや問題、心配事が、「なんてちっぽけなことだったんだろう」って思わされる。
半径が約465億光年ともいわれている宇宙の規模からすると、わたしたち人間はありえないほどにちっちゃなちっちゃな存在だ。
現実が辛くなったら、視点をかえてみるといい。小さなじぶんだけの視点から離れて、地球規模、そして宇宙規模へと枠を広げていく。そうすることで、ものごとの捉え方も見え方もずいぶんと変わってくる。
視点をかえると、人生がかわる。
どんなことが起きようとも、私たちに乗り越えられないことなど起きはしない。
「スケールでっかく、宇宙規模で地球をたのしんじゃえ」
夜空に瞬く間に消えていった宇宙船を眺めながら、そんなことばが心に響いた。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
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